8-1-3. リチウムイオンバッテリー


最近ではリチウムイオンバッテリーを搭載するキャンピングカーが増えてきました。その理由は、キャンピングカーが快適化され、エアコンや電子レンジなど大容量家電を装備する需要が高まってきたことが挙げられます。
リチウムイオンバッテリーは従来のディープサイクルバッテリーに比べ、効率の良さ、大電力を取り出せる、長寿命、高速充電の4点が優れています。

効率に関しては、ディープサイクルバッテリーが、実質的には全容量の60~70%程度しか使用できないのに対し、リチウムイオンバッテリーでは90%以上を取り出すことができます。従って、スペースに制限があるキャンピングカーでは、同じスペースにより大容量のバッテリーを積めることになります。

次に、ディープサイクルバッテリーは、一度に大きな電力を取り出すのが苦手なバッテリーで、エアコンや電子レンジといった大電力家電を使うと、全体的に使える容量が少なくなってしまいます。また、バッテリーの寿命縮めてしまいます。
一方、リチウムイオンバッテリーは大電力に強く、エアコンなどで使用しても容量のほとんどをしっかり使えます。

リチウムイオンバッテリーの寿命はディープサイクルバッテリーに比べて長く、ディープサイクルバッテリーの3倍程度使用できるといわれています。(ただしこれはまだキャンピングカーで実証されるほど長く使われていません)さらに寿命が来るまで容量の低下は極めて少ないといわれています。ディープサイクルバッテリーでは2~3年ごとに交換する必要があり、また年々容量が低下します。

最後に高速充電ですが、リチウムイオンバッテリーは充電電流を多く流せるため、同じ容量のバッテリーならより短時間で満充電にすることができます。たとえば100Ahのバッテリーを10Aで充電すると10時間かかりますが、40Aで充電すると2.5時間で充電できることになります。これは大雑把な計算ですが、ディープサイクルバッテリーとリチウムイオンバッテリーはこれくらいの差があります。

 2021年からホワイトハウスのコンパスに搭載されたリチウムイオンバッテリー

このような理由から、エアコンの普及と相まって、リチウムイオンバッテリーが注目されています。ただし、問題点ももちろんあります。一つは価格が高価なこと。もう一つは安全性の面で十分に検証されていないことです。

しかし現在キャンピングカーに使われるリチウムイオンバッテリーはリン酸鉄を採用したもので、パソコンやスマートフォンのものとはさらに安全性を高めたものです。既に多くのキャンピングカービルダーが採用し始めており、安全性も検証されつつあります。