V670 VANTECH(バンテック)


V670はVANTECH(バンテック)が製作するスタンダードキャブコンキャンピングカー。ベース車にフィアットデュカトを使用した国産初のキャブコンとなる。ただし、これはまだプロトタイプ(参考出品)で最終的な仕上がりではない。 最終的には、色々変わるかもしれない。

フィアットデュカトは欧洲のモーターホームでは多く用いられているベース車。国産キャブコンに使われるトヨタ カムロードいすゞ ビーカムがトラックのイメージであるのに対し、デュカトがスマートな外観を持つため、輸入モデルの強みにもなっている。 今回国産キャブコンでも採用されたことにより、少なくともベース車に関しては欧州車と同等になった。シェルデザインは同社オリジナルというV670は、欧州車以上に美しいエクステリアだ。

キャブ部から続くルーフが少し盛り上がっているので、プルダウンベッドが装備されているように見えるかもしれないが、実際はプルダウンベッドもバンクベッドも持たず、ベッドは後部のハイマウントダブルベッドだけで、二人旅仕様となっている。

レイアウトは前部にダイネット、後部にハイマウントダブルベッド、中央にギャレーとサニタリールームを配置しており、比較的オーソドックスなもの。


ダイネットにはメインシートとして前向きと横向きのシートが置かれており、各2名着座できる仕様だが、2名座ると多少窮屈そうに見える。しかし、ふたり旅であればこの2脚だけで十分だろう。輸入車では定番の、運転席と助手席が回転して後ろ向きのダイネットのシートとなる機構も採用されているようだが、二人旅がメインならその必要性はあまり無い。V670のダイネットは輸入車ではあまり見られない形だが、2名がそれぞれ独立した大きめのシートで寛げるこの構成はむしろ使いやすそうだ。前後の動線が遮られるのが多少気になるが、全体的に余裕のある室内なのでそれほど大きな問題ではないだろう。


後部のハイマウントダブルベッドは、サイズは公表されていないが、見たところ十分な広さがあり、大人2名がゆったり就寝することができる。 ルーフには大きなサンルーフがある。両側にオーバーヘッド収納が設置されているが、後部にはなく、後部の壁全体が殺風景な感じがする。


ギャレーはシングルバーナーが組み込まれたコンビネーションシンクが埋め込まれている。残念ながら、この車格には 貧弱なキッチンだ。やはり輸入車やZILシリーズのような最低二口バーナーを持つ広いキッチンが相応しいだろう。
冷蔵庫は大きく、ふたり旅には十分な容量がある。また電子レンジもビルトインされているが、この位置にあるとベッド下の収納庫へアクセスできないのではないだろうか。


サニタリールームには、カセットトイレが装備されており、温水シャワーも用意されている。また、跳ね上げ式の洗面台もある。輸入モデルのように、シャワーを使う場合便器が濡れないようなセパレーションは用意されていないので、シャワーを使うユーザーにはマイナス点かも知れない。


収納はダイネットの上、キッチンの上、あるいはベッドルームの上にオーバーヘッド収納が豊富に据え付けられている。ただ奥行きはあまりなく、収納力はZILシリーズや輸入モデルほど大きくないように思われる。


なお最終的なモデルでは装備されると思われるが、家庭用エアコンもこのプロトタイプでは見当たらなかった。同社のZILシリーズにはエアコンが標準装備されているので、同様の手段で設置されるのだろう。

価格はもちろんまだ発表されていないが、ZILシリーズの上を行くとすると1000万円前後だろうか。しかしデュカトがベース車ということもあり、どうしてもライバルは輸入モーターホームということになるだろう。現在輸入車はアドリア系のサンリビング(SunLiving)やデスレフ系のサンライト(Sunlight)と言ったセカンドブランドが人気を高めており、これらの価格帯は700万円から800万円が中心となっている。

輸入車の魅力は、デュカトベースということ以外に、その洗練された室内インテリアに ある。 これらの輸入モデルに対抗するためには、インテリアの洗練度がキーポイントとなるだろう。
しかし、今回展示された V670はプロトタイプではあるが、残念ながらインテリアは 期待に達していない 。輸入モデルのような華がないばかりか、同社のZILシリーズのインテリアの方が高級感がある。エクステリアが美しいだけにインテリアのギャップが大きい。

特に先に書いたように、ギャレーやサニタリールームを見ると、ZILシリーズの下位モデルのようだ。 国内のユーザーはあまり調理をしたり温水シャワールームの必要性を感じたりしないという理由があるかもしれないが、そうであってもインテリアのセンスはやはり輸入車レベルにしてほしいものだ。
そうすれば、右ハンドル左エントランス、あるいは電気やガス設備が国内のインフラに適しているといったアドバンテージが生きるだろう。

V670はデュカトを初めて採用した国産キャブコンとして、今後の展開に大きな影響を与えると思われる。輸入モデルに対抗できる国産モデルとして最終の仕上がりを期待したい。

 

モデル V670(参考出品車)
ビルダー バンテック
ルーフ架装 -
ナンバー区分 8
乗車人数 ?
就寝人数 2~4
ベース車 フィアットデュカト
ダイネット形態 対座
ベッド形態 後部ハイマウントベッド
ダイネット展開フロアベッド
サブバッテリー
バッテリー増設
走行充電システム
外部100V入力/充電
インバーター
大容量インバーター
ルーフベンチレーター
サンルーフ ○(ベッドルーム)
コンロ ○(シングルバーナー)
シンク ○(コンビネーションシンク)
給水タンク ○(?)
排水タンク ○(?)
冷蔵庫
電子レンジ
ユーティリティールーム
ポータブルトイレ -
カセットトイレ
カーテン/ブラインド
FFヒーター
ルームエアコン ?
シャワー設備
温水装置
発電機 ?
ウインドウ架装 -
アクリルウインドウ
サイドオーニング
ソーラーシステム ?
全長(mm) ?
全幅(mm) ?
全高(mm) ?
価格 ?

2018年2月現在  (○は標準装備/OPはオプション)

V670の動画はこちら

2018.2.25