シルバー(Silver)310TDLはフランスのトリガノ翼下のビルダー、シルバーが製作するキャンピングトレーラー。日本へはインディアナRVが輸入販売する。
トリガノは欧州を代表する巨大な企業グループで、ローラーチームなど、多くのコーチビルダーを翼下に収めているが、2017年には日本でもおなじみのスロベニアのアドリアモービルを買収した。
シルバーもフランスの会社で、トレーラーを専門に作っている。
本国でのラインアップはミニサイズから6m近いミドルサイズまであるが、輸入されているのは310の2018年モデル。
輸入モデルは日本仕様になっており、Silver 310TDL V エディションエクストラとSilver 310TDL フリースタイルの2モデルが選べる。
フリースタイルの方は、ヒーターやサブバッテリーを含む電装系がオプションとなっており、自分好みの装備を付けるというコンセプト。
一方Vエディションエクストラには、灯油FFヒーター、ソーラーパネル、電装系、カセットガス対応など、日本で装着する装備がフル装備される。
特にカセットガス対応は、プロパンガスの充填問題などがあるため有用だ。
シルバーのトレーラーの特徴はポップアップするルーフ。
走行時や保管時はルーフを折りたたんで車高を低くすることができ、3ナンバーミニバンと同等なサイズになる。走行時の空力にも有利と言える。
停泊時はポップアップすると車高が370mm高くなり、圧迫感が少ない室内を実現する。
このとき、ポップアップルーフの側面はテント生地ではなく、断熱処理されたパネルなのがポイント。冬でも十分な断熱効果があり、暖かい室内を保つ。
レイアウトは前部にダイネットと後部にギャレー、その前にサニタリールームを配置する。
ダイネットは対座とロングシートの組み合わせで、フロア全体の半分程度を専有する広さだ。
逆に常設ベッドが無く、ダイネットを展開してベッドとする。即ち、常設ベッドより、広いダイネットを優先させ、これを特徴としている。
意見が分かれるところと思われるが、常設ベッドの良さもやはり捨て難い。
ギャレーは最後部に位置するが、サニタリールームが横にあるので、それほど広くない。
しかしシンクはもちろん、3口コンロがビルトインされており、調理を楽しみたいユーザーには最適なギャレーと言える。
なお、Vエディションエクストラは、プロパンではなく、入手しやすいカセットガスに交換されている。
ギャレーコンソールには70L冷蔵庫が標準装備されており、二人旅には十分な容量だ。
ただ、電子レンジがオプション設定されていないのは残念。立派なコンロは有るが、いつも料理するわけではないので、コンビニ弁当や冷凍食品向けに電子レンジがあると便利なのだが。
ギャレーコンソールには引出し収納があり、食器や調理器具を入れておくのに便利だ。
サニタリールームは、カセットトイレと温水システムは標準装備。温水は電気ボイラーで沸かし、水と混合して使う。ただし、輸入トレーラには珍しく温水シャワーは装備されていない。
収納は、ダイネット上3方向にオーバーヘッド収納が並べられている。高さはそれほどでもないが奥行きはあるので、十分実用性がある。
ギャレーの上にもオーバーヘッド収納があり、こちらは十分な高さがある。
更に、シート下の収納とクローゼットがあり、比較的大きな荷物はここに収納できる。エントランスの横にもちょっとした収納があるが、国産車ならシューズボックスの設定だろう。残念ながら、ドアは内側を向いているので、シューズボックスとしては使い難い。
空調は灯油FFファンヒーターが標準装備される。灯油は入手しやすく、価格も安価だが、ガソリンと別に給油する必要があり、一長一短ではある。
また、冷房に関しては、オプションでウインドウエアコンが用意されている。駆動は外部電源が必須となるが、トレーラーゆえ滞在型が多いことを考えると、これで良いのかも知れない。ただし、外部電源の許容ワット数は確認する必要がある。
電装系は105Ahのサブバッテリーが1個標準装備されるが追加は不可。そのかわり、100Ah AGMバッテリーへの変更がオプション設定されている。
インバーターは250Wが標準装備される。電子レンジやエアコンをバッテリーで駆動することはないので、これで問題ないだろう。
なお、140Wのソーラーシステムが標準装備される。
Silver 310TDL V エディションエクストラはけん引免許無しで気軽に牽けるトレーラーだ。断熱性の高いハイルーフを上下できるのも特徴で、車庫の高さがミニバン程度しか入らない場合は有利。
装備も充実しており、特にガスや電装系が国内用に対応されているのが強みと言える。
弱点は常設ベッドを持たないところ。長期滞在型の使用の場合、毎日ベッドとダイネットを組み替えるのは面倒だし、寝具の移動や収納も面倒だ。
価格は325万円(税別)。このクラスのトレーラーは200万円台が主流な中、Silver 310TDL V エディションエクストラは高価な方に入る。
主なコストアップはポップアップルーフにあると思われるが、どの程度それに価値を見い出すかが購入のポイントになるだろう。
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