コンパクトSPはスロバキアのコーチビルダー、アドリアモービルが製作する輸入キャンピングカー。
欧州のモーターホームビルダーは多く存在するが、アドリアモービルは古くから日本へ輸入されており、有名なブランド。
日本へはデルタリンクが輸入販売している。
欧州、あるいは北米のモーターホームといえば大きな車体のイメージが強いが、最近では、特に欧州ではコンパクトなモデルがトレンドとなっている。
もちろん大きな車体のモデルが主流だが、ハイマーもコンパクトなモデルを積極的に打ち出す戦略を取っており、全長5,450mmと欧州キャブコンでは最短のVan314を発表している。
これは日本マーケットを特に意識しているわけではなく、欧州市場でもコンパクト化が求められている状況に基づくものだが、日本のマーケットには都合の良い流れとなっている。
今回紹介するアドリアモービルのコンパクトSP2017年モデルも欧州マーケットにあっては、名前の通りコンパクトな部類に入る。
ただ、それでも6m近くあるので、日本のスタンダードキャブコンよりもかなり大きい。
しかし6m未満に収まっているので、フェリー料金などは6m~7mのスタンダードキャブコンと同じクラスになる。
本国での同社の「コンパクト」ラインアップには”AXESS”、”PLUS”、”SLIDE OUT”の3種類がラインアップされている。
AXESSとPLUSは細かい装備の違いがあるが、最も大きな違いはAXESSはフィアットからシトロエンにOEM供給されているデュカトベースのCITROËN RELAYがベース車になっていること。
エンジンも2.0Lディーゼルが搭載されている。
PLUSはフィアットデュカト2.3Lが使用されており、日本へはこちらが輸入されている。(オプションで3.0Lへの変更可能)
ただし、モデル名は”コンパクト”となっている。
ちなみに、SLIDE OUTは、後部がスライドアウトするユニークな機構で話題になったモデル。
なお、PLUSにはSPとSLがあり、日本でも両モデルが選べる。
SPは後部のベッドがハイマウントダブルベッド、SLは縦置きのツインベッドのレイアウト。
ただ、SLの全長は6m未満には収まらず、6,620mmに達する。
ベッド以外は両モデルは変わらず、前部には欧州車おなじみの回転するフロントシートがあり、2列目シートと、サイドシートとで、計4~5名が着座できる。
ダイネット上には大きなサンルーフがあり、明るい室内を演出する。
ギャレーは3口バーナーを持つコンロとシンクがビルトインされており、料理も十分可能。
ただ、調理スペースはコンロの前に用意されているが横幅の余裕はあまりなく、このあたりにコンパクトサイズの影響が出ているようだ。
冷蔵庫は100リッターの大型が標準装備され、ファミリー分の食材も収納可能。
電子レンジはオプションで用意されている。
また、電子レンジを動作させるための1500Wインバーターもオプション。
シャワールームにはカセットトイレが標準装備。
また、温水シャワーも標準装備される。
温水ボイラーはガスで加熱する方式を採用しており、水と混合して適温の湯を得る。
空調はFFガスヒーターで暖房、冷房はオプションでルーフエアコンが用意されている。
また電装系はオプションで200Ah、あるいは400Ahのリチウムイオンバッテリーを選択できる。
発電機やソーラーパネルもオプションで用意されており、しっかり日本仕向け対応がされている。
コンパクトSPは、サイズ的にも日本で扱いやすく、しかも洗練された欧州車デザインを手に入れることができる。
装備も温水シャワーまで含めて標準装備されており、装備追加で価格が大幅にアップするということはないだろう。
ただ、リチウムバッテリーや発電機をオプションで搭載するとかなりの価格アップにはなってしまうが、選択できるのはメリットではある。
価格的には800万円台はじめで決して安価ではないが、国産のスタンダードキャブコンの上位モデルよりは安価で、輸入モーターホームに魅力を感じる向きには魅力あるモデルと言える。