ベリーREはタコスが製作する、ハイエース標準ボディをベース車にしたキャブコンキャンピングカー。
同社は東京都立川市に本拠を置くビルダーで、ハナシリーズやNVジャックなどタウンエースやNV200ベースのコンパクトバンコンや、ハイエースをベース車にしたキャブコンベリーシリーズなどコンパクトなバンコンを中心にラインアップを展開している。
ベリーシリーズにはこのベリーREとセンターエントランスのベリーType2がラインアップされている。センターエントランスで2列目に2名掛けのマルチモードシートを持つ初代ベリーは2015年に発表されたが、現在ではラインアップには無い。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ハイエースの標準ボディをベース車とするキャブコン。一般的にバンタイプのベース車を用いる際はボディ全体をカットするが、ベリーではルーフのみのカットに留め、元の車体構造を最大限に温存し、シェルを被せるように施工することで、剛性感を損なわない工夫が施されている。
ベリーREはリアエントランスを採用し、前部に広いダイネットを配置する。コンパクトな車体ながら、横開き式冷蔵庫や電子レンジ、多目的ルームを完備する。キャブコンならではの広さと充実した装備を持ちながら、バンコンのような扱いやすさを両立している点が特徴だ。
アピールポイント
・ハイエース標準ボディを採用し、コンパクトな車体
・リアエントランスによる広いダイネット
・横開き式冷蔵庫や電子レンジ(OP)を装備
・家庭用エアコンを標準装備
・最大300Ahのリチウムイオンバッテリー搭載可能(OP)
・発電機(ホンダ18i)を搭載可能
ベース車とエクステリア
ベリーREのエクステリア
ベース車にはハイエースの標準ボディを採用し、FRPパネルのシェルを架装している。ルーフ以外のボディカットを最小限に抑えることで、ベース車本来の剛性を残したままキャブコン化に成功した。また、GLパッケージが標準仕様となるため、カラードバンパーやメッキフロントグリルといった上級仕様のエクステリアを備える。
車体は5×2m以内に収まるサイズで運転しやすく、スクエアなシェルによって広い室内空間と高い天井高を確保した。バンコンのように街中を気軽に運転できる扱いやすさと、キャブコンならではの居住性の高さを高次元で融合させている点が大きな特徴だ。
駆動方式はガソリン2WD、ディーゼル2WD、さらに4WDの3種類から選択可能だ。足回りには、走行安定性を高めるファイヤーストーン社製のエアサスペンションが標準装備されている。このクラスのモデルとしては極めて豪華な仕様と言える。
レイアウト
ベリーREのレイアウト
ベリーREはその車名の通り、リアエントランスのレイアウトを採用している。定石通りに車両の前部には広いダイネットが確保されており、その上部にはバンクベッドを設置する。常設ベッドは無いが広々とした室内はリアエントランスの魅力だ。
車両の後部には、ギャレーと多目的ルームを配置する。特徴的なのはギャレーが最後部ではなく、ダイネットに隣接している点だ。これにより、調理した料理をシートへすぐに配膳できるなど、実際の動線を考慮した使い勝手の良い設計となっている。
インテリア
後部のインテリア
展示車のインテリアは、濃い木目調の家具とブルーをアクセントにしたシート地を組み合わせている。しかし、家具の色とシート地はどちらも選択可能だ。豊富なカラーバリエーションの中からオーナー好みの組み合わせを選び、自分だけの空間を演出することができる。
ただし、照明やルーフの構成自体は発売当初から変更されていない。近年の新型モデルに見られるような、洗練された間接照明や凝ったインテリアデザインとは異なり、全体としてオーソドックスなイメージの仕上がりとなっている。
ダイネット
ダイネット
対座式のダイネットとベンチシートを組み合わせ、広々としたリビング空間をとなっている。二人旅では少々広すぎると感じるかもしれないが、車内での滞在時間が長くなるクルマ旅では、この広さがストレスを軽減してくれる。もちろん、ファミリーでの使用にも十分対応できる。
前向きになる2列目シート
他のリアエントランスモデルと大きく異なるのは、2列目にマルチモードシートを採用している点だ。これにより走行時はシートを前向きにセットできるため、乗車定員である6名全員が前向きに座って移動できる。長距離ドライブでも同乗者が疲れにくく、安全面でも重要なポイントだ。
ベッド
ダイネットベッド
ダイネットを展開して作るベッドは1900×1150mmのサイズを持つ。幅は家庭用セミダブルベッドの基準(1200mm)にわずかに及ばないものの、大人2名が就寝できる。長さは1900mmを確保しているため、長身のユーザーであっても足元に窮屈さを感じることなく快適に横になれる。
バンクベッド
バンクベッドは奥行き1800×幅1450mmのサイズを誇る。これは家庭用ダブルベッドの基準(1400mm)を上回る広さだ。ベッドの展開はボードを並べる方式を採用しており、収納時はボードを積み重ねてベルトで固定する。
また、ベッドを展開した状態でも、最奥(車両前方)のデッドスペースには専用の収納が用意されている。さらに両サイドにも小物を手軽に出し入れできるオープン収納が備わっており、就寝時の利便性を高めている。
ギャレー
ベリーREのギャレー
リアエントランスモデルでは最後部にギャレーを置くレイアウトが多い中、本モデルはダイネットに隣接させている。これにより、調理した料理をダイネットへスムーズに配膳できる。
また、ギャレートップにはシンクと一体型の常設コンロが搭載されている。多くのライバル車のように、使うたびにカセットコンロを出し入れする手間がなく、利便性は極めて高い。
さらに、常設コンロが最初から組み込まれている恩恵として、ギャレートップのフラットなスペースをそのまま広い調理スペースとして活用できる。そのため、旅先での調理も快適に行える仕様だ。
シンクの下の給排水タンク
シンクの下には、各20Lの給排水タンクが収納されている。ただ、ギャレーがこの位置に配置されているため、車外から直接タンクを出し入れすることは難しい。給排水の作業をよりスムーズに行うためにも、車外から直接アクセスできる専用の外部ドアがあれば、さらに利便性が向上しただろう。
ギャレー下の収納
ギャレーキャビネットの下部には、実用的な収納スペースが設けられている。ここには2連式のカセットガスボンベホルダーが設置されている。一体型コンロへの燃料供給が行えるほか、予備のボンベを保管しておくスペースとしても便利だろう。
レンジフードとギャレー上部の収納
ギャレーの上部にも収納スペースが設けられている。標準装備のレンジフード(換気扇)のダクト配管がこの収納内を通っているため、内部の形状はやや変則的で使い難さを感じるかもしれないが、食器や調理用具を収納できる利便性は高い。
冷蔵庫/電子レンジ
40L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は40L横開き式が標準装備される。エントランスの横のキャビネットに設置されている。多くの場合、エントランス側に冷蔵庫を設置するケースが多いが、ベリーREでは内側に設置されている。車外からのアクセスよりギャレーからアクセスを優先した設計だが、片開き式なのでこれで正解だろう。
電子レンジはオプション
家庭用100V仕様の電子レンジがオプションで用意されている。設置場所は冷蔵庫を収めたキャビネットの上部だ。位置的にはギャレーからの距離が近く、調理時の動線としては非常に使いやすい。ただし、専用のビルトイン設計のようには見えず、どうしても「後から載せた感」が否めない外観となっている。
多目的ルーム
トイレルームとしても使える多目的ルーム
多目的ルームは、ポータブルトイレやラップ式トイレを設置することでトイレルームとして活用できる。車外から直接荷物を出し入れできる外部ドアも標準装備されているが、防水処理は施されていないため、濡れたアウトドアギアなどの収納には向かない。なお、専用のベンチレーターはオプションで追加可能だ。
収納
ダイネット上部のオーバーヘッド収納
ダイネットの両側には扉付きのオーバーヘッド収納が設置されている。高さが十分あり大きな収納力が確保されている。
エントランス上部の収納
エントランスの上部には観音開きの収納が設置されている。
最後部に設置された傘立て
車両の最後部に位置するキャビネットには、傘立てが用意されている。このキャビネットの厚み部分は外部収納のスペースとして割り当てられており、車内から直接アクセスすることはできない構造だ。ただ、室内には専用のシューズボックスが用意されていないため、このスペースをシューズボックスとして活用できるようにしても便利かもしれない。
後部の外部収納
後部には外部収納が用意されており、ここにはオプションでポータブル発電機(ホンダ EU18i)を収納することができる。
外部収納
車体の左側には水洗いできる外部収納が設置されている。車内に持ち込みたくないものを収納しておくのに便利だ。
空調
家庭用エアコンを標準装備
家庭用エアコンが標準装備され、室内機が最後部に設置されている。
家庭用エアコンの室外機
エアコンの室外機は車体右側の中央部に設置されている。これは同社の「ハイエース3B」のほか、OMCの「ナロー銀河」や「キャラバン銀河」などでも実績のある配置だ。
この位置は、走行時にタイヤが巻き上げる水や泥の影響を受けにくいというメリットがある。また、ベリーREのレイアウトでは後部にベッド下収納などの大容量スペースを確保しにくいため、この中央配置が現実的な最適解と言える。
室外機が収まる扉にはルーバーが設けられており、基本的には扉を閉じたままでもエアコンを運転できる設計だ。ただし、熱気がこもりやすい酷暑日の日中に稼働させる場合は、排熱効率を高めるために扉を開けて使用した方が良いだろう。
テレビ/ナビ
テレビはオプションリストに記載されていないが、希望すれば設置自体は可能だろう。しかし現在では、タブレット端末を活用して出先から自宅のレコーダーの録画番組やリアルタイムのテレビ放送を視聴できるのでこの方法も検討する価値があるだろう。
また、カーナビについても特に推奨オプションの指定はなく、ユーザーがお気に入りの機種を持ち込んで自由に取り付けてもらう形になるだろう。
電装システム
標準仕様では、100Ahのディープサイクルバッテリー1個と走行充電システムに加え、外部100V電源入力およびチャージャーが装備されている。オプションとして200Ahまたは300Ahのリチウムイオンバッテリーが用意されているほか、350W、1500W、2000Wの正弦波インバーター、さらに各種ソーラーシステムも追加可能だ。
ベリーREは家庭用エアコンが標準装備されているため、サブバッテリーのアップグレードは必須と言える。標準のディープサイクルバッテリー1個ではエアコンの実用的な駆動は難しいため、外部電源に接続できる環境以外でもエアコンを活用したい場合は、リチウムイオンバッテリーへの変更を強くお勧めする。
価格(2026年7月現在:千円台切り上げ:税込)
ガソリン2WDは792万円~、ディーゼル2WDは851万円~、ディーゼル4WDは883万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、2000W正弦波インバーター(231,000円)、FFヒーター(242,000円)、リチウムイオンバッテリー(200Ah:330,000円、300Ah:495,000円)、マックスファン(63,800円)、電子レンジ(31,900円)が挙げられる(ナビ関連は除く)。できればソーラーシステム(132,000円~)も付けておきたい。
他モデル
同価格帯でリアエントランスのキャブコンとしては、AtoZの「アルファH Type1(716万円〜:車載用クーラー、ディープサイクルツインバッテリー別)」が挙げられる。ベース車がハイエースではなくNV200バネットになるため車格自体は下がるが、設計思想は非常に近い。いずれも前部に広いダイネットを確保しており、アルファHでは対座ダイネットとベンチシートを組み合わせた「Type1」と、二の字型ベンチシートの「Type2」から選択可能だ。
ボンネットタイプゆえに居住スペースの効率ではベリーREに及ばないものの、ベッドサイズは同等以上を確保している。特にバンクベッドに関してはベリーREよりも広い(下の比較表参照)。ミニバンや乗用車に近い感覚で運転できるため、キャブオーバー型であるハイエースの運転に不安を感じるユーザーには特にお勧めのモデルだ。
一方、同じハイエースベースの競合としてはセキソーボディの「トム200」が挙げられるが、ディープサイクルバッテリー仕様でも932万円〜と価格帯が大きく跳ね上がる。ベリーREの価格帯(700万円台〜)でハイエースベースを探すとなると通常はバンコン(バンコンバージョン)が選択肢になるが、当然ながらリアエントランスモデルは存在せず、室内空間の広さで対抗できるのは車格の大きなスーパーロングクラスに限られてしまう。
こうして競合と比較すると、ハイエースベースのキャブコンでありながらこの価格に抑えたベリーREは、極めてお買い得感の高い価格設定になっていることが分かる。
まとめ
ベリーREは、バンコン特有のコンパクトな取り回しの良さを持ちながら、キャブコンならではの高い居住性を両立させた極めてユニークな存在だ。しかもハイエースをベースとしているため、トラックベースのキャブコン特有の「商用車感」や「大げさな印象」がなく、スタイリッシュでカジュアルな雰囲気を纏っている点も大きな魅力と言える。
しかし、本モデルを選ぶ上での決定的な要因は、やはりその圧倒的なコストパフォーマンスだろう。これほどの広い居住空間と充実した装備を備えながら、価格帯は一般的なバンコンクラス(例えばOMCの「キャラバン銀河」:726万円〜
※家庭用エアコンやリチウムイオンバッテリーは別売)とほぼ同等に抑えられている。
あえて短所を挙げるならば、リアエントランスレイアウトの割にはダイネットベッドの幅が狭い点や、バンクベッドの広さがスペース効率で劣る「アルファH」にも及ばない点、そしてインテリアデザインが昨今のトレンドと比較するとややオーソドックスに感じられる点だろう。
しかし、発売当初から長い期間にわたって安定した人気を保ち続けている事実こそが、トレンドに左右されない基本設計の優秀さを何よりも証明している。
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