リコルソ7は、アネックスが製作する、ハイエーススーパーロングバンをベース車にしたバンコンキャンピングカー。
同社は徳島県吉野川市に本拠を置くビルダーで、カムロードベースのキャブコンから、ハイエースやNV200バネットをベースとしたバンコンまで、幅広いモデルをラインアップする総合メーカーとして知られている。
「リコルソ」は、これまでハイエース ワイドミドルルーフワゴンをベース車として展開してきたが、ジャパンキャンピングカーショー2026で発表された最新モデル「リコルソ7」がハイエース
スーパーロングをベース車として加わる。
これにより、従来の「リコルソ」は「リコルソ5」となり、リコルソシリーズは2モデル体制となる。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
ベース車にはハイエース スーパーロング バンを採用。外観上の特徴は、右側に標準で架装されたエクステンションウインドウ。左サイドにもアクリル2重窓を標準で架装する。これにより、車内幅の拡張と高い断熱性能を両立させており、快適な居住空間を確保している。
洗練されたインテリアデザインは従来モデル「リコルソ」のコンセプトを踏襲しているが、オプションの「ブラックライン」を選択することで、よりモダンな室内空間を演出できる。
2列目には単座のマルチモードシートを設置。基本は二人使用を想定した設計だが、シートを前向きにすることで3人目の乗車が可能となり、後ろ向きにすればダイネットの一部として機能する。
グレードは「標準(エアコンレス)」「ホームエアコン搭載モデル」「ホームエアコン搭載モデルプラス」の3種類から選択可能。後者2グレードには家庭用エアコンが標準装備される。また、「ホームエアコン搭載モデル」には200Ah、最上位の「ホームエアコン搭載モデルプラス」には500Ahもの大容量リチウムイオンバッテリーが標準で搭載される。
アピールポイント
・ハイエーススーパーロングの余裕ある室内
・洗練されたインテリア
・2列目に単座のマルチモードシートを設置。3名が前向き乗車可能
・前部の広いL字型ギャレー
・ギャレーのウォークスルー機構
・横開き式冷蔵庫と電子レンジを標準装備
・最後部に多目的ルームを配置
・家庭用エアコンを標準装備(上位2グレード)
・最大500Ahのリチウムイオンバッテリーを選択可能
・スタイリッシュなソーラーパネル(OP)
ベース車とエクステリア
リコルソ7のエクステリア
ベース車には、トヨタ ハイエース スーパーロング バンを採用。パワートレインは、ガソリンおよびディーゼルの2種類から選択が可能だ。それぞれに2WDと4WDが設定されている。
外観の大きな特徴は、右サイドに架装されたエクステンションウインドウと、左サイドに標準装備されたアクリル2重窓。さらに、リアゲートのウィンドウにもオプションでアクリル2重窓を装着することが可能。各ウィンドウは、全開・網戸・シェードの3モードへ切り替えができる。
ソーラーパネルもオプションで用意されているが、設置は専用のスタイリッシュな台座で取り付けられ、洗練されたエクステリアデザインを引き立たせている。
レイアウト
リコルソ7のレイアウト(図:アネックス)
前部にL字型のギャレー、後部にダイネット、最後部に多目的ルームの構成。2列目に単座のマルチモードシートを配置することにより、もう1名が前向き乗車できる。なお、ベンチシートにも4名が乗車できるため、乗車定員は7名。
インテリア
リコルソ7のインテリア(オプションのブラックライン)
標準仕様では明るいベージュを基調とした開放感のある内装だが、オプションで「ブラックライン」と銘打たれたインテリアカラーを選択できる。精悍なブラックで統一された家具やシートに、温かみのある木目調の天板を組み合わせたコントラストは美しく、格別の高級感を漂わせている。
デザインボードに埋め込まれたスポットライトに加え、柔らかい間接光を採用。これらが組み合わさることで、落ち着きのあるムーディーな夜の室内を演出する。
ダイネット
ダイネット(写真:アネックス)
2列目シートを後ろ向きにセットすることで、ダイネットの一部として機能する。特筆すべきは、従来の類似レイアウトとは一線を画す「テーブルの位置」だ。これまでのレイアウトでは2名対座ダイネットが優先されていたが、リコルソ7ではベンチシート側の乗員からもテーブルが使いやすい位置になっている。
この絶妙なテーブル配置により、マルチモードシートをベッド形態にし、ベンチシートの横座り対座モードでの使い方も可能になった。さらに、テーブルを90度回転させることで、従来の2名対座ダイネットとしての使い方も可能だ。
ベッド
ダイネットベッド
ダイネットをフルフラットに展開すると、1800 x1660mmのベッドスペースが出現する。そのベッド幅は、一般的なクイーンベッドの規定サイズ(1600mm)を上回り、大人3名が就寝できる。
一方で、ベッド長は1800mmにとどまる点は留意が必要だ。家庭用ベッドの標準的な長さ(1950mm)と比較すると短いため、長身のユーザーにとってはややタイトに感じる可能性がある。
ギャレー
ギャレーセクション
車両前部に配置されたギャレーキャビネットは、使い勝手の良いL字型を採用。丸型シンクとフォーセット(蛇口)が完備されている。フォーセットはマグネット式により容易に着脱が可能だ。これにより、車外へ引き出して使用するといった柔軟な使い方ができる。
跳ね上げてウォークスルーできる
キャビネット中央部は跳ね上げ式となっており、運転席・助手席から後部エリアへのウォークスルーが可能となる。雨天時や車外に出るのが億劫な場合、車内をスムーズに移動できるこの機構は非常に重宝する。
ギャレーキャビネットの引き出し収納
キャビネット本体には3段の引き出し収納が備わっており、食器や調理器具を整理して収めるのに最適だ。一方で、各12Lの給排水タンクは運転席背後に配置されている。補水や排水の際は運転席側のドアを開けてタンクにアクセスする必要があり、作業はやや手間を要する。
冷蔵庫/電子レンジ
58L横開き式冷蔵庫が標準装備される
58Lの横開き式冷蔵庫が標準装備されている。独立した冷凍室を備えているため、製氷や冷凍食品の保冷と、飲料・食材の冷蔵を同時に行える。設置場所はエントランスの正面に位置し、スーパーなどで買い出した食材をスムーズに運び入れられる。
電子レンジも標準装備される
家庭用100V仕様の電子レンジも標準で完備されている。長期のクルマ旅において、冷凍食品の活用や惣菜の温め直しは日常的な光景だ。冷蔵庫と電子レンジが使いやすい位置に集約されているので、調理を効率良く進められる。
多目的ルーム
最後部の多目的ルーム
最後部にはドアで仕切られた多目的ルームが配置されている。右サイドにはラップ式トイレ用の電源が用意されている。雨天時や冬の深夜でも、車外へ出ることなく安心して用を足すことができる。
左サイドには、キャビネットが設置されている。小物や衛生用品を即座に取り出せる収納の他、天板部分には電源コンセントも完備。電化製品の使用も可能だ。
収納
オーバーヘッド収納と出窓収納
ハイエース スーパーロングのハイルーフ形状を活用し、右サイドにはオーバーヘッド収納が設置されている。さらに、エクステンションウインドウ(出窓)の張り出しを利用したオープンタイプの収納棚も用意されている。
ネット収納
一方、左サイドの頭上スペースにはネットが張られており、衣類などの軽量な荷物を手軽に放り込める仕様となっている。ただし、右サイドのような扉付き収納を望むユーザーも多いと予想され、このあたりは開放感とのトレードオフと言える。
エントランス横の収納
エントランス脇には、回転式の収納が備わっている。主にシューズボックスとしての利用を想定したものであり、サイズは小ぶりながら2足程度の靴を収めることが可能だ。乗降時の動線を妨げない、機能的な設計と言える。
空調
家庭用エアコン
「ホームエアコン搭載モデル」と「ホームエアコン搭載モデルプラス」の両グレードには、家庭用エアコンが標準で搭載されている。室内機の設置場所は多目的ルームへ続く扉の上部。この位置は車内全体に冷気が行き渡りやすく、居住空間を効率よく冷却できる理想的なレイアウトと言える。
暖房面ではFFヒーターが標準装備されている。エアコンによる冷房とFFヒーターによる暖房の双方を備えることで、季節を問わず一年中快適な車中泊が可能となっている。
一方で、「マックスファンベンチレーター」は、全グレードを通してオプション設定となっている。調理をするユーザーは特に、調理時の排気や車内の空気循環のために導入を検討すべき重要な装備のひとつだ。
テレビ/ナビ
19型のテレビ(OP)
オプションで19型のテレビモニターが用意されている。専用のテレビアームに装着されるため、状況に合わせて最適な角度に調整して視聴することが可能だ。
カーナビについては特にオプション設定されていないが、好みや予算に合わせて自由に選択が可能となっている。
電装システム
電装系は、グレードごとに異なるバッテリーシステムを採用している。「標準仕様」には80AhのAGMバッテリー2個を搭載。「ホームエアコン搭載モデル」では200Ahのリチウムイオンバッテリー、さらに最上位の「ホームエアコン搭載モデルプラス」では500Ahもの大容量リチウムイオンバッテリーが標準装備される。
全モデルに走行充電および外部100V電源入力・チャージャーが完備されているが、その出力値はグレードごとに異なっている。外部電源からの充電能力は、「標準仕様」が30A、「ホームエアコン搭載モデル」が20A、そして「ホームエアコン搭載モデルプラス」では40Aの高出力を実現。大容量バッテリーであっても効率的な充電が可能だ。
スタイリッシュなソーラーパネル
インバーターは、「標準仕様」では400Wがオプション設定だが、エアコンを搭載する「ホームエアコン搭載モデル」と「ホームエアコン搭載モデルプラス」では、2000Wの正弦波インバーターが標準装備される。また、全グレード共通のオプションとして、専用台座を用いた300Wソーラーシステムも用意されている。
標準的なエアコン利用であれば200Ahのリチウムイオンバッテリーでも十分対応可能だが、真夏の猛暑日に長時間冷房を稼働させたり、電子レンジなどの高出力家電を頻繁に併用したりするシーンを想定すれば、500Ahの容量は圧倒的な安心感をもたらす。旅のスタイルに合わせ、最適な電源環境を選択できる。
価格(2026年4月現在:千円台切り上げ:税込)
価格は、最も安価な「標準仕様」のガソリン2WD車が795万円。対して、最上位の「ホームエアコン搭載モデルプラス」でディーゼル4WDを選択した場合は1,025万円となる。
ボリュームゾーンとなる「ホームエアコン搭載モデル」の価格帯は以下の通り。
ガソリン:2WD 904万円 / 4WD 935万円
ディーゼル:2WD 961万円 / 4WD 992万円
「ホームエアコン搭載モデル(200Ah)」と「ホームエアコン搭載モデルプラス(500Ah)」の価格差は、ガソリン2WDを例に取ると約30万円強。わずか30万円の差額で、リチウムイオンバッテリーの容量が300Ahも増設できる計算になる。この容量差がもたらす安心感を考慮すれば、最上位の「プラス」を選択する価値は十二分にあると言える。
エアコン搭載の2グレードに関しては、標準装備が極めて充実しているため、いわゆる「必須」と言える追加オプションは少ない。(ナビ関連は除く) しかし、300Wのソーラーシステムについては導入を強く推奨する。特に自宅に外部電源コンセントを確保できないマンションなどの保管環境であっても、太陽光によって常時補充電が行われるため、バッテリーの放電を防ぎ、常に旅に出られる状態を維持できるメリットは大きい。
他モデル
リコルソ7に近いレイアウトを持つモデルとして、まずレクビィの「プラスSL」(766万円~:ガソリン2WD)が挙げられる。両車とも後部に多目的ルームを配置する構成は共通しているが、ダイネットの構造は、プラスSLは左右両側にベンチシートを配置した「二の字型」の構成となっている。
もうひとつの比較対象である「ソランSL」(909万円~:同)は、2列目に単座のマルチモードシートを搭載している点がリコルソ7と共通している。しかし、ソランSLは後部に独立した多目的ルームを持たず、室内後方までを広く使う設計だ。また、テーブル配置は2名対座を優先した設計になっており、ベンチシート側の乗員からは距離がある。
リコルソ7のレイアウトは、いわばプラスSLの「多目的ルーム」とソランSLの「単座マルチモードシート」を掛け合わせたスタイルといえる。最大の特徴はテーブルの位置だ。ベンチシートに近い中央寄りに配置されているため、プラスSLのような「左右ベンチシートスタイル」のダイネットとしても機能する汎用性を備えている。
ただし、リコルソ7にも弱点はある。プラスSLと比較すると、ベンチシートの全長が抑えられているため、伸長方向(縦方向)に十分な長さを確保しにくい。また、2名対座に特化した専用テーブルを持たない点も、好みが分かれる部分だろう。
各モデルに一長一短があるため、自身の旅のスタイルに照らし合わせて最適な1台を選択すると良いだろう。
まとめ
アネックスの新たなフラグシップとして登場した「リコルソ7」は、ハイエース スーパーロングの広大な空間を最大限に活用し、更にエクステンションウインドウやアクリル2重窓により高い居住性能を実現している。
ブラックラインに代表される洗練されたインテリアに加え、レイアウトにも工夫が見られる。2列目に単座のマルチモードシートを採用しつつ、テーブルを中央寄りに配置したことで、従来の2名対座スタイルだけでなく、左右のベンチシートを活かしたラウンジのような使い方も可能にしている。
設備面もフラグシップに相応しく、家庭用エアコンやFFヒーター、さらには最大500Ahの大容量リチウムイオンバッテリーを選択できるなど、季節を問わず快適に過ごせる電装システムが完備されている。
また、最後部にはドアで仕切られた独立した多目的ルームを備えており、ラップ式トイレを設置すれば完全な個室トイレとして運用できる点も、長期のクルマ旅において大きな安心材料となる。
リコルソ7は妥協のない二人旅を求めるユーザーにとって、見逃すことのできない選択肢のひとつだ。
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