レム ワンダーSAはキャンパー鹿児島が製作する、ハイエーススーパーロングをベース車にしたバンコンキャンピングカー。オートバックスが販売する。
同社はレム(REM)という名称を主力モデルに付けているが、これは睡眠に関連した言葉に因んでいる。即ち、初代「レム」の睡眠にこだわったコンセプトが貫かれている。
コンセプト:レム セカンドアクト(SA)をベースに、ペット同伴仕様に仕立てたのがレム ワンダーSA。同時に、睡眠へのこだわりを受け継いでいる。
そしてもう一つのポイントが「KULOS」。大容量リチウムイオンバッテリーを標準装備し、キャンピングカーで最も重要な機能のひとつ、電気の問題を解決している。

レムワンダーSAのインテリア
エクステリア:右側ウインドウがエクステンションウインドウになっているほかは、ノーマルのハイエースと同じ。エクステンションウインドウにより、横置きダブルベッドを実現している。
インテリア:ペットが車内を歩き回ることを想定し、フロアは防汚性、耐摩耗性に優れ、抗菌機能を持つ。また滑りにくい凹凸の木目を付けている。シート地も防汚性、防水性に優れ、抗菌性も持つ。また、シートには滑りにくいが爪が引っ掛かりにくい素材を使用しているのも細かい配慮。
ペットとクルマ旅をしていると、思いがけないことがいろいろ起こる。例えばドアを開けたとたんにペットが飛び出したり、お留守番中に電源を切ってしまったり。レムワンダーは、飛び出し防止ネットや電源スイッチの扉など、細かいことにも注意が払われている。遮光カーテンもペットが落ち着いて留守番できるように標準装備されている。
更にWebカメラを設置することを想定し、上部の棚に置いて電源が取れるようになってる。
なお、シート生地の柄や家具色は2~3点から選べる。
レイアウト:2列目にマルチモードシートを採用、計5名が前向き乗車でドライブできる。また後ろ向きにすると3列目シートと対座ダイネットを形成。ダイネットの横にギャレーがあり、後部はハイマウントダブルベッドを配置する。
計4名が就寝できるので、ファミリーでも二人旅でも対応できる。
ダイネット:2列目シートを後ろ向きにすると、4~5名が対座できるダイネットになる。また、ベッド状態にしてもテーブルの脚を短くして使うことができ、ちゃぶ台スタイルで寛げる。2列目シートを完全にフラットにせずリクライニング状態にしておくと、カウチモードとなり、足を伸ばして寛げる。

扉を閉めると個室になるベッドルーム
ベッド:メインベッドは後部のハイマウントダブルベッドで、ここがレム ワンダーの特徴のひとつ。レム セカンドアクト同様、ダイネットとの境に引き戸があり、これを閉めると個室になる。
ベッドマットには「特殊立体構造 体圧分散マットレス」を採用、防音効果の高い個室と高級マットレスで上質の睡眠が得られる。ベッドサイズは1,850x1,450mmで、これは家庭用ダブルベッドの幅より広い。
ダイネット展開ベッドでも2名が就寝できるので計4名が就寝でき、ファミリーでも使用できる。

40L上開き式冷蔵庫とシンクがビルトインされたギャレー
ギャレー:ダイネットの右サイドにギャレーが設置されており、ここにシンクと冷蔵庫がビルトインされている。コンロはポータブルカセットガスコンロをセットして使用する。
調理で火を使うことが多い場合は、オプションのベンチレーターを装備しておくことをお勧めする。
冷蔵庫/電子レンジ:40L上開き式冷蔵庫を標準装備。また電子レンジも標準装備している。1500WインバーターがKULOSに内蔵されているので、外部電源が無いところでも電子レンジを使用できる。

後部ベッド下の収納スペース
収納:オーバーヘッド収納をベッドルームにオプションで取り付けることができる。ギャレー周辺に小物収納が無いので、食器などの収納には不便だ。電子レンジ下に棚があるので、このようなところをうまく使って収納すると良いだろう。
大きな荷物の収納は後部ベッドの下にあり、両側の収納家具と、ベッド下中央が大きな収納スペースになる。ベッドボードを外せば、自転車も積めるが、ワンダーではここはワンコの遊び場とされている。
なお、リアハッチを開けると、ペット用の引き出し収納や小物収納が用意されている。また、車外用のシャワーフォーセットも付いており、ペットの足を洗うのに便利だ。

車外で使えるシャワーとペット用小物収納
空調:家庭用エアコンを標準装備する。KULOSの大容量リチウムイオンバッテリーにより、エアコンは実用的に使うことができる。エアコンはKULOSで13時間運転可能としている。なお、FFヒーターはオプション。また、ワンダーにはプラズマクラスター付き空気清浄機が装備されている。
テレビ/ナビ:防水ポータブルテレビセットがオプションで用意されている。ナビはオプション。

リチウムイオンバッテリーKULOS
電装系:5100WhのリチウムイオンバッテリーKULOSが標準装備される。5100Whはおおよそ400Ahに相当し、数字上は100Ahのバッテリーの4倍の容量となる。
しかし、良く使われている100Ahのディープサイクルバッテリーでエアコンのように大電力の家電品を動かすと半分程度の効率になってしまう。従ってエアコンのような大電力の機器を動かす場合に限って言えば、リチウムイオンバッテリーは実質8倍くらいの差になる。更にリチウムイオンバッテリーは、ディープサイクルバッテリーのような経年劣化が起こらない。
これだけの容量を持っていれば、電気容量に関しては理想以上だ。ただし大容量バッテリーを充電するのは、それなりに時間が必要ということも知っておきたい。電気をほぼ使い切った状態から満充電するには、10時間程度必要だろう。
価格:ガソリン2WD/6ATで650万円~(税別)追加装備はFFヒーター、ベッドルームのオーバーヘッド収納あたりが付けておきたいオプションだ。
ベースになっているレム セカンドアクト KULOSバージョンが653万円~(税別)なので、ほぼ同額。特に上位バージョンとして位置付けられているわけではなさそうだ。

他車:ペット同伴を前面に打ち出したキャンピングカーは、バンテックの「コルドランディ」、オートワンの「愛犬くん」、ダイレクトカーズの「ドッグエース」などがあるが、ハイエーススーパーロングでは他に見当たらない。
また、これだけの大容量リチウムイオンバッテリーを標準搭載するバンコンも、同社以外にない。即ち、他と直接競合することのないモデルだ。
まとめ:ペットとクルマ旅をする場合、どうしてもペットを車内に残して一定時間クルマを離れなければならない場合があるが、特に夏場はエアコンが止まっていないか心配になる。もちろんエアコン無しで車に残すのは危険だ。
実用的な時間使えるエアコンは、ペット連れのクルマ旅には最も求められる装備だろう。レム ワンダーSAは大容量のバッテリーを搭載しており、エアコンがバッテリー切れで止まることはほぼ考えられない。
その意味ではKULOSとペット仕様の組み合わせは、バンコンでペットと旅をするユーザーには見逃せない提案と言える。
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