かるキャン NUGGET(ナゲット)は、東京都板橋区に本拠を置くコイズミが製作する軽キャンピングカー。軽トラックの荷台に収納ボックスとルーフテントを積み込んだカタチで、トラックキャンパーと言えなくもない。
今までにないキャンピングカーの形態だが、これも同社の有名な「かるキャン」ブランドのひとつだ。「かるキャン」、「かるキャンデッキクルーザー」に続く、かるキャンシリーズ第3段となる。
コンセプト
「災害ボランティアが自活するのを支援すること」を一つの目的に企画された。ボランティアが被災地で邪魔にならず、貴重な食料や資源を消費しないよう活動するための自活拠点として使用できる。グリルなどでドレスアップした車体は、その他レジャーでも目を引く。
エクステリア

かるキャンNAGGETの後部
ベース車はスズキキャリートラックだが、このベース車はDLIVEN(ドリブン)の「ベビトラK・150」というコンプリートカーを使用している。グリル一体式フロントバンパー、ボンネットグリル、スキッドプレートなどを装着し、4インチリフトアップした迫力ある外観だ。

かるキャンNUGGETの走行時の外観
この荷台に、積み下ろしができるDLIVENのDプロイボックスを積み、さらにその上にジェームス・バロウドのルーフテント、SPACE Compactを搭載している。

Dプロイボックス
これらのものを組み合わせたものを、かるキャンNUGGETとしてコイズミが販売している。なお、上の写真のように4本のジャッキがオプションで用意されており、ユーザーが積み下ろしできるようになっている。
インテリア

ルーフテント、SPACE Compactのソーラー換気ファン
人が入れるスペースは軽トラックのキャブ部とルーフテントだけなので、インテリアとして見るものは無いが、ルーフテント内は快適に過ごせるよう、着脱式のLEDライトやソーラーで動作する換気ファンが付いている。
レイアウト

後部の引き出し式テーブル(オプション)
Dプロイボックスにはサイドに引き出し式のシンク、リアに引き出し式テーブル(オプション)が用意されている。また内部は防水された大容量の収納になっている。
ダイネット

車外のダイネット&ギャレー
キャンピングカーのように、車内のダイネットは無いが、ベース車の荷台のサイドゲートを開けると車外テーブルとして使え、引き出し式シンクも引き出すと、L字型のギャレー付きダイネットが形成される。
ベッド

ルーフテントには2名就寝できる
就寝はルーフテントになるが、搭載されているジェームス・バロウドのSPACE Compactは、1,960x1,280mmの広さで、高さは最高1,430mm、最低480mmとなっている。家庭用ベッドならセミダブルベッドの幅より広く、大人2名が就寝できる。
ギャレー

引き出し式シンク
Dプロイボックスには引き出し式シンクがあり、これを引き出し、ウォータータンクを設置するとギャレーになる。シンクは比較的大きく、中皿でも洗える大きさ。排水は下のバケツに受ける。
冷蔵庫/電子レンジ
冷蔵庫はポータブル冷蔵庫を持ち込む。また、電子レンジは、展示車には12VのWaveBoxが置いてあったが、ホンダEU18iクラスの発電機があれば100Vの電子レンジも使える。
ユーティリティールーム

ジェームス・バロウドの「FALCON SHOWER」
ジェームス・バロウドにはテント地でできている「FALCON SHOWER」というアクセサリーがあり、展開して個室やシャワールームにすることができる。上部には透明のルーフも付いており、雨天でも使用できる。

巻き上げるとコンパクトに収納できる
シャワーヘッドやウォータータンクは市販のものを用いる。もちろん排水設備は無いので、足元は濡れるし排水は垂れ流しになり場所を選ぶが、条件が許せばシャワールームやトイレルームとして使用できる。
収納

Dプロイボックスの後部収納口
Dプロイボックス自体が大きな収納ボックスになっており、後部には大きな収納口が左右についている。片側、もしくは両側にスライドテーブル(オプション)を装備でき、これは100Kgの耐荷重がある。
空調
もちろん冷暖房機器は無いが、ルーフテントは開口部が大きく、風通しは良い。また冬場は断熱シート(オプション)を装着でき、寒さを緩和できる。ただし寒さが厳しい場合は、耐寒用のシュラフが必要となる。
テレビ/ナビ

ルーフテントの「ユニバーサルタブレットサポート」オプション
もちろん大きなテレビは置けないが、ルーフテントの天井部分に「ユニバーサルタブレットサポート」オプションを取り付けると、タブレットや小型テレビを固定できる。横になってテレビを楽しむことができる。
電装系
Dプロイボックスのオプションとして、リチウムイオンバッテリーやインバーターが用意されている。ポータブルのリチウムイオンバッテリーが各社から発売されているので、それらを使うのも良いだろう。
ポータブルのリチウムイオンバッテリーへの充電はクルマのシガーソケットからもできるが、発電機を持っていると、ガソリンさえ手に入れば電気の心配は無くなる。
価格(税別)
ベビトラK・150のコンプリートカーは2インチリフトアップ仕様が68万円~(税別)、4インチリフトアップ仕様が85万円~(同)。またフロントバンパーやボンネットグリルなどのパーツキットは148,000円(同)。
またDプロイボックスは68万円(税別)。スライド収納は1か所につき85,000円(同)。ジェームス・バロウドのSPACE Compactは378,000円(同)、FALCON
SHOWERは88,000円(同)となっている。
従って、かるキャンNUGGETとしての価格は、上記を全て足して2,229,000円~(税別)となる。
他モデル
災害時に車内で暮らすことを想定して作られたモデルはオーエムシーのZEROなどがあるが、被災地のボランティア活動を想定して作られたモデルは今までに無かった。もちろん、キャンピングカー以外のジャンルでは存在しているのかもしれないが、キャンピングカーショーに展示された軽トラックとしては恐らく初めてだろう。
まとめ
用途や構成など、今までになかった発想で作られたユニークなモデルだ。実際の災害地で活動するボランティアの意見も取り入れ、その機能は実質的なものと思われる。
ただ、上記を全て搭載すると、価格的にはかなり高価になる。ベース車のドレスアップは被災地での活動に必須のものではないため、Dプロイボックスとルーフテントだけでも、普通の軽トラがあれば十分活用できるだろう。
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