HAYATE(ハヤテ)はNTB(日本特種ボディ―)が製作する、いすゞトラヴィオをベース車にするキャブコンバージョンキャンピングカー。
同社は埼玉県越谷市に本拠を置くビルダーで、主にいすゞビーカムやトラヴィオをベース車にしたキャブコンをラインアップしている。セキソーボディやAtoZ、キャンパー鹿児島、ロータスRV販売にOEMモデルを提供していることでも知られている。
キャンパー鹿児島のTaBee-Ks Jr.(タビークスジュニア)はHAYATEのOEMモデル。
同社はいすゞとの協業が長く、HAYATEもいち早くトラヴィオをベース車にして開発されたモデルのひとつ。HAYATEはセンターエントランスだが、リアエントランスにしたHAYATEリアエントランスモデルもラインアップされている。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
いすゞトラヴィオをベース車にしたキャブコンモデル。車幅をキャブとほぼ同じにしたスリムボディが特徴で、駐車や運転がしやすい。トラヴィオは普通免許やAT限定免許でも運転できることから、キャブコンへのハードルを低くしている。
後部に子供用の2段ベッドを設置し、ファミリーでの車中泊にも対応する。コンパクトなボディながらトイレルームにもできる広さの多目的ルームも設置している。
5000Whのリチウムイオンバッテリーが標準装備され、強力な電装システムも特徴。標準装備の車載用クーラーを電気容量の心配なく使用することができる。FFヒーターやマックスファンも標準装備され、季節を問わず快適な車内で過ごすことができる。
アピールポイント
・先進のベース車、トラヴィオを使用
・普通免許やAT限定免許でも運転可能
・車幅を抑えたスリムなボディで、駐車や運転が楽
・後部に子供用2段ベッドを設置
・コンパクトボディながら、トイレルームにも使える多目的ルームを配置
・車載用クーラーとFFヒーターをを標準装備
・5000Wの大容量リチウムイオンバッテリーを標準装備
ベース車とエクステリア
HAYATEのエクステリア
ベース車はいすゞトラヴィオ。現在のところディーゼル2WD/6ATのみ選択できる。ディーゼル車を普通免許やAT限定免許で運転できるのがメリット。カムロードはガソリン車は普通免許で運転できるが、ディーゼル車は準中型免許が必要となる。(2017年3月11日以前の普通免許では運転できる)
HAYATEの最大の特徴は、車幅を抑えてスリムなボディ形状にしたこと。後部に横置き2段ベッドを設置するレイアウトは効率的で多くのモデルが採用しているが、1800ミリのベッド長を確保するには、どうしても2000ミリ近い車幅が必要になる。しかし、これではキャブよりシェルの方が広く、駐車や運転が難しいと感じるユーザーも多い。
HAYATEでは1800ミリのベッド長を諦め、子供用のベッドとすることで、車幅を1770ミリとした。これにより、高ささえクリアできれば、自宅のカーポートやコインパーキングに駐車できる可能性が高くなる。
レイアウト
後部ののレイアウト
前部に対座ダイネット、中央にギャレーと多目的ルーム、後部に横置き2段ベッドの構成。キャブコンのレイアウトとしては最も一般的な構成を採用している。
後部に横置きの2段ベッドをを採用。ダブルベッドのように、ベッドが前部に浸食するのを抑えることにより、トイレルームにもできる広さを持つ多目的ルームを設置している。
インテリア
HAYATEのインテリア
薄いベージュ系の家具色とシート地で、全体的に明るいトーンになっている。ダイネットテーブル、ギャレーキャビネットの天板、冷蔵庫のキャビネットの天板は明るい木目、オーバーヘッド収納と多目的ルームの扉は白になっている。
インテリアカラーの選択肢についてはオプション設定が無いようだが、希望する場合はビルダーにお問い合わせいただきたい。
ダイネット
4名対座のダイネット
前部はダイネットと冷蔵庫のキャビネットが設置されている。車幅が狭い分、ダイネットの横幅が少しタイトな感じではあるが、4名でテーブルを囲むことができる。テーブルは広く、ファミリーでの食事も楽しめるだろう。
ダイネットサイドにはアクリル2重窓があるが、正方形の大きさで、横長の大きな窓を期待すると違和感を覚えるかもしれない。しかし、2列目の後ろ向きシートはハイバックでヘッドレストも付いており、よくある簡易的なシートに差を付けている。
走行時はこの後ろ向きシートにも乗車することができ、フロントシートに3名、ダイネットシートに4名で、計7名が乗車できる。4名のファミリーなら全員が前向き乗車でドライブできる。
ベッド
ベッドは、後部の横置き2段ベッド、バンクベッド、ダイネットを展開したダイネットベッドの3カ所があり、大人4名と子供2名が就寝できる。
後部の2段ベッド(下段)
後部の横置き2段ベッドは、両段とも1650x795ミリの大きさ。身長方向が1800ミリに達していないので子供用にカウントされる。
興味深いのは両段とも頭と足元の両方に読書灯が付いていること。クルマの傾きにより、どちらを頭にしても就寝前に読書ができる。そのような意図なのかは不明だが、読書灯が必要なユーザーには嬉しい配慮だ。
各段に100Vコンセントが用意されているのは嬉しいが、USB Cもあればなおよかったかもしれない。また、コンセントの下あたりに小さな棚があればスマートフォンを置くことができるのだが。。
バンクベッド
バンクベッドは引き出し式で、1950x1600ミリの大きさ。これは家庭用ではクイーンサイズベッドの幅に相当する広いベッドだ。バンクベッドの両側には小さな窓と読書灯も設置されている。ただ、願わくばスマートフォン充電用に電源コンセントも欲しかったところだ。
ダイネットベッド
ダイネットを展開すると、1805x1105ミリのベッドになる。幅が1000ミリ以上あるので、キャンピングカーの要件上では2名が就寝できることになる。多くの他モデルでは、ここは1名就寝が一般的だが、HAYATEでは通路部もベッドにすることにより広いベッドサイズを確保している。
ギャレー
ギャレーセクション
ギャレーキャビネットは広く、ギャレーカウンターにはシンクとフォーセットが設置されている。常設コンロは無いが、ポータブルカセットコンロやIHヒーターを置いて調理するスペースは十分に用意されている。
各20Lの給排水タンク
シンクの下には各20Lの給排水タンクが収納されている。車外から直接出し入れできない位置で、20Lと重いタンクなので、タンクの出し入れには多少労力が必要だ。車外からアクセスできるバゲッジドアが望まれる。
ギャレーキャビネットの引き出し収納
ギャレーキャビネットには引き出し収納が用意されている。ギャレーまわりの収納は、他にも上部に小物入れが用意されている。
冷蔵庫/電子レンジ
72L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は72L横開き式が標準装備される。もちろん冷凍室もあるので、製氷や冷凍食品の保冷と、飲み物や食品の保冷ができる。エントランスの向かいにあるので、スーパーで買った食品を冷蔵庫に入れる場合などには便利だ。
電子レンジも標準装備される
ギャレー上部には、家庭用100V仕様の電子レンジを標準装備。クルマ旅の利便性を左右する必需品であり、本格的な調理をしないユーザーにとっても、惣菜の温めや軽食の準備に重宝する嬉しい仕様だ。
多目的ルーム
多目的ルーム(ポータブルトイレはオプション)
多目的ルームにはポータブルトイレやラップ式トイレを置いてトイレルームにすることができる。写真には無いが、外部へのバゲッジドアとFFヒーターの吹き出し口が標準装備される。アクリル2重窓はオプションで追加できる。
ただし防水処理はされていないようなので、スキーウェアなど濡れたものを積み込む場合は防水シートなどを敷いて使用すると良いだろう。
収納
収納は、ギャレーの収納の他、ダイネット上部のオーバーヘッド収納と後部のベッド下の外部収納がある。
オーバーヘッド収納
ダイネット上部右サイドには、オーバーヘッド収納が設置されている。奥行きと高さが十分あり、大容量の収納だ。
後部ベッド下収納
後部の2段ベッドの下が大きな外部収納になっている。かさばるキャンプ用具なども、車外から直接積み込むことができる。バゲッジドアは左サイドと後部の2カ所だが、右側にも欲しいところだ。
リアに横置き2段ベッドをもつレイアウトでは、バンテックのコルドバンクスのように、ベッドボードを全て取り外して大きな外部収納にできるというコンセプトを持つモデルもあるが、HAYATEではそこまで大きな開口部ではない。しかし左側は縦長のバゲッジドアになっており、下段ベッドを取り外せば、それなりに大きな外部収納になりそうだ。
空調
エントランス上部に設置された家庭用エアコン
家庭用エアコンが標準装備され、室内機はエントランス上部に設置されている。室外機はボディ右側後部に設置される。暖房はFFヒーターが標準装備されるので、季節を問わず快適な室内で過ごすことができる。マックスファンベンチレーターはオプションとなっている。
テレビ/ナビ
ナビはカロッツェリアの楽ナビが標準装備される。テレビは19型のパナソニック ビエラがオプションで用意されている。
電装システム
サブバッテリーは5000Whのリチウムイオンバッテリーが標準装備される。他モデルでは200Ah(約2400Wh)程度のものも多く、5000Whはかなり大容量と言える。
その他の電装システムでは、走行充電、外部100V電源入力とチャージャー、2000W正弦波インバーターが標準装備される。更に195Wのソーラーパネルが3枚(=585W)オプションで設置できる。
価格(2026年5月現在:千円台切り上げ:税込)
ディーゼル2WDのみ選択可能で、車両本体価格は1290万円~となっている。(価格表はこちら)標準装備が充実しているので、付けておくべき必需オプションは無い(ナビ関連の装備は除く)が、サブバッテリーが大容量なので、自然に充電されるソーラーシステムを付けておくと、走行充電や外部電源での追加充電が短時間で終了する。
他モデル
トラヴィオをベース車にするキャブコンは多数発売されているが、HAYATEのようなスリムボディのモデルは他にない。他の選択肢としては、カムロードベースだがキャンパー厚木のパピィ480が最有力だ。
パピィ480は、全長4880ミリ、全幅は 1740ミリで、全長 4930ミリ、全幅 1770ミリのHAYATEより、50ミリ全長が短く、幅が30ミリ狭い。即ち、パピィ480の方がよりコンパクトだ。
パピィ480は416Ah(約5000Wh)の個体リチウムイオンバッテリーを標準装備するSG仕様が用意されており、これらは、1036万円~(ガソリン2WD)、1155万円~(ディーゼル4WD)となっている。(価格表はこちら)
HAYATEと比較対象になるディーゼル2WDがラインアップされていないが、ディーゼル4WDでもHAYATEより安価なのは特筆できる。ただし、前述のように、準中型免許が必要な場合がある。
また、HAYATEリアエントランス(1310万円~)も見落とせない。リアエントランスなので前部に広いダイネットを持つ。HAYATEのような常設2段ベッドは無いが、バンクベッドとダイネットベッドで、5名が就寝できる。(価格表はこちら)
リアエントランスでは、グランドパピィ(1045万円~:ガソリン 2WD、1166万円~:ディーゼル 4WD)が選択対象となる。グランドパピィは全幅はパピィ480と同じだが全長が4970ミリで、パピィ480やHAYATEより多少長くなる。(価格表はこちら)
まとめ
HAYATEは新鋭のトラヴィオをベースに据え、優れた機動性を誇るスリムボディを纏った一台。駐車や運転のストレスを軽減する「気軽に乗れるキャブコン」として、初めてキャンピングカーを導入するエントリー層にも適している。
トラヴィオゆえに2WD限定である点や、給排水タンクへのアクセス性、後部収納における右側バゲッジドアが無い点など、細部の不満や改善の余地は残るが、全体としての完成度は極めて高い。
HAYATEはコンパクトながら利便性の高いキャブコンで、家族で気兼ねないクルマ旅へ出かけたいと願うユーザーにとって、間違いなく最有力候補のひとつとなるモデルだ。
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