エルミタはマックレーが製作する、軽トラックキャンパー(トラキャン)。シェルだけの製品で、軽トラックの荷台に積載物として固定する。
ユーザーが積み下ろしでき、車検時はもちろん下ろす必要がある。
同社は京都に拠点を置き、キャンターベースのフルサイズキャブコン「バレンシア520」から軽キャブコン「ディアラジュニア」まで大小さまざまなキャンピングカーを製作しているが、トラックキャンパーは初の試みとなる。

エルミタの室内
コンセプト:ベーシックは99万円(税別)からのシェルで、フル装備のリミテッドパッケージではギャレーやウインドウエアコンも装備される。キャンピングカーとしてはもちろん、オフィスや移動店舗の需要も見込む。
シェルパッケージ、スタンダードパッケージ、リミテッドパッケージの3種類のパッケージが用意されている。

ハイルーフのベース車を想定して余裕を持たせている
エクステリア:アルミフレームにアルミパネルを張った構成だが、30mm厚の断熱材がサンドイッチされており、断熱効果も確保されている。シェルの積み下ろしは、標準装備される4本のステーでシェルを持ち上げることで行うため、一人でも可能。
なお、基本はダイハツハイゼットトラックに合わせて作成されているが、ベースの軽トラックがハイルーフであることも考慮し、通常のルーフのベース車に乗せた場合、ベース車のルーフとシェルのバンクの間に隙間ができる。

シェルを持ち上げるためのステー
インテリア:網戸とシェードが組み込まれたガラスウインドウが装備されている。スタンダードパッケージ以上ではベッド展開できるソファやギャレーも装備される。家具色やソファの生地や色は選択できる。
レイアウト:スペースは居室部とバンク部に分かれており、スタンダード以上では居室部に家具やギャレーが装備される。ソファは3名程度が着座でき、テーブルも付く。
ダイネット:横座りのソファで2~3名が寛げ、テーブルも用意されている。もちろんベッド展開してちゃぶ台スタイルのダイネットとしても良い。

ソファを展開したベッド
ベッド:ソファを展開するとベッドになり、2名が就寝できる。上の写真では敷き詰めるためのもう1枚のベッドマットが不足しているが、これも標準装備される。ベッドサイズは1810x1330mmで、家庭用ではセミダブルベッドより広い幅を持つ。

ベッドマットと丸窓はリミテッドに標準装備
また、バンク用のベッドマットはリミテッドに標準装備され、ベッドサイズはフロアベッドと同じ1810x1330mm。従って、合わせると大人が4名就寝できる。
もっとも2名しか乗車できないので、フロアベッドで就寝してバンクベッドは荷物置き場にしたり、ソファダイネットをそのままにしてバンクベッドで就寝するといったこともできる。
なお、リミテッドパッケージではバンクベッドの両側にアクリル丸窓が標準装備される。

コンパクトなギャレーはスタンダード以上に標準装備
ギャレー:エントランス近くにコンパクトなギャレーがスタンダードパッケージ以上に標準装備される。各5Lの給排水タンクも用意され、車内で手を洗ったり、食器を洗ったりできる。
また、給排水タンクは車外から取り出せるので、水交換が簡単にできる。
冷蔵庫/電子レンジ:電子レンジがオプション設定されているが、冷蔵庫はオプション設定されていない。ポータブル冷蔵庫を持ち込むユーザーは少なくないと思われるので、そのための12Vコンセントが望まれる。

リミテッドに標準装備される収納棚
収納:ソファの下に扉付きの収納スペースと、リミテッドにはルーフ近くに収納棚が用意される。いずれも中~小物の収納に便利だ。特に収納棚は食器などの収納に便利。
また、ベッド状態にすると、ベッド下は大きな収納スペースになる。

ベッド下の収納スペース
空調:FFヒーターは灯油タンク式がオプション設定される。またベンチレーターはスタンダードパッケージ以上に標準装備される。
特筆されるのが、リミテッドに標準装備されるウインドウエアコン。軽キャンパーでエアコンが装備できるものは多くないが、エルミタはその一つに数えられる。ただし残念ながらバッテリーでは駆動できないので、使用は外部100V電源が得られる場合に限られる。

リミテッドにはウインドウエアコンが標準装備
テレビ/ナビ:19インチテレビが壁掛け金具付きで、オプション設定されている。ナビはオプション。

105Ahサブバッテリーが1個標準装備される
電装系:ベーシックなシェルパッケージにも105Ahのディープサイクルバッテリーが1個標準装備される。また、外部100V電源入力と、これによるサブバッテリーの充電機能も標準装備される。
ただし、走行充電はオプション。また、100Wソーラーパネルもオプション設定される。更にサブバッテリーの増設が可能。リチウムイオンバッテリーも選ぶことができる。
なお、100Vコンセントが室内に用意されているが、外部電源入力がある場合のみ室内で家電品を使うことができる。サブバッテリーで使いたい場合は、オプションのインバーターを装備する必要がある。
価格(税別):エルミタのシェルパッケージは99万円~、スタンダードパッケージは129万円~、リミテッドパッケージは159万円~となっている。
キャンピングカーとして装備しておきたいオプションは、FFヒーター(25万円)。また自宅駐車場に100V電源が無い場合は、ソーラーパネル(12万円)の設置をお勧めする。
更に長期旅で使うなら、走行充電システム(5万円)、バッテリー増設(3.7万円)+25A充電器(2.3万円)、正弦波インバーター(12万円)は付けておくと良いだろう。
他車:軽トラックキャンパーでは、MYSミスティックのJ-Cabin Mini(164万円~)とミニポップ(180万円~)が挙げられる。(同社のミニポップビーはシェルを固定し、キャブ背面を貫通させた軽キャブコンに分類される。)
ミニポップはポップアップルーフだが、J-Cabin Miniはエルミタと同じソリッドシェルタイプ。やはりハイアールの壁掛けエアコンが装備できる。
まとめ:軽トラックキャンパーのマーケットは大きくない。MYSミスティックは、ミニポップとミニポップビー両方を製作しているが、キャブコンタイプの”ビー仕様”の方が人気のようだ。
その理由は、トラックキャンパーでは走行中はシェルに乗車できないことが大きく、乗車定員は2名に限られてしまうこと。
しかし、トラックキャンパーの良いところは、日常はクルマはトラックとして使え、シェルは平地に置いて部屋として使えること。積み下ろしが多少面倒だが、効率の良いシステムではある。
エルミタはオフィスや移動用店舗などの用途も見込んでおり、そちらの需要も期待できるだろう。
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