クッチェッタカナートはビークルが製作販売するバンコンキャンピングカー。ハイエース標準ボディハイルーフをベースにしており、取り回しがよく、かつ高い天井で圧迫感が少ない室内を持っている。
同社はバンコンを専門に製作するビルダーで、ハイエースやNV350キャラバンベースも含め、豊富なレイアウトラインアップを用意している。
クッチェッタシリーズでは全席前向きのファミーユと、このカナートが選択できる。
なお、クッチェッタ(Couchette)とは欧州の列車寝台のこと。
クッチェッタカナートの室内
クッチェッタカナートのレイアウトは2列目にマルチモードシート、後部に二の字型横置き対座シートを備え、最後部にはギャレーコンソールを配置する。
2列目シートに1200mm幅のREVOシートを採用し、ここに3名が前向きに着座してドライブできる。運転席、助手席も入れると合計5名が前向きに着座してドライブできるので、ファミリー用途にも対応したレイアウトと言える。
2列目シートを後ろ向きにすると、3列目の横置き対座シートとともにコの字型ダイネットを形成し、ファミリーでテーブルを囲むことができる。
シートを全てフラットにするとフロアベッドとなり、大人2名と子供1名が就寝できる。オプションで上段ベッドボードが用意されており、これをセットすると、ここでも2名が就寝可能。フロアシートも合わせると、合計4名+子供1名が就寝できることになる。
全てのシートをフラットにするとフロアベッドになる
後部には両側に収納ラックが配置されている。左側のラックには引き出し式のシンクが収納されており、必要な時だけ引き出して使うようになっている。また対面のラックの扉を開けてこれを水平にセットすることにより調理台として利用できる。
引き出し式のシンク
コンロは、卓上型のポータブルカセットコンロをセットする必要があるが、調理台は広く、調理をすることは十分可能だ。ただ、冷蔵庫は調理台の下になってしまい、食材を取り出すのが多少不便ではある。
シンクの下には各10 L の給排水タンクが収納されている。シンクには専用のフォーセット(蛇口)が用意されているが、これとは別に車外で使える シャワーフォーセットも用意されているので、車内に入る前に汚れた手足を洗ったり、ペットの足を洗ったりするのに便利だ。
右側のラックには上部に大きな引き出しがついており、小さな食器などを収納しておくのに有用。横開き40Lの冷蔵庫は、カナートはオプションとなっており、この下の収納スペースにビルトインすることができる。
(ファミーユは標準装備)
なお、電子レンジのオプション設定はされていない。
収納は3列目シートの下が比較的大きめの収納スペースになっているが、ファミリー全員分の荷物を入れておくには多少狭いかもしれない。
収納スペースがもっと必要と思うユーザーのために、オーバーヘッド収納がオプション設定されているが、これもファミーユには標準装備だ。
先の冷蔵庫も含め、その分車両本体価格はファミーユに比べ20万円(税別)安価にはなっている。
なお、上段ベッドを使用する場合は、オーバーヘッド収納を付けると、多少圧迫感があるかもしれない。標準装備のファミーユでチェックすると良いだろう。
電装系は105Ahのサブバッテリーと走行充電が1個標準装備される。外部100V電源入力は標準装備されているが、インバーターはオプション。オプションリストには書かれていないが、必要に応じた容量のインバーターを選択できるだろう。
クッチェッタカナートはミニバンの代わりにファーストカーとして使用したいといった用途には最適だ。日常は買い物や通勤に使用し、休日にはファミリーで車中泊を伴うロングドライブが楽しめる。コンパクトで取り回しがよく、街中でも気軽に運転できるが、高さ制限のある駐車場などはほぼ入れないので、高さだけは注意する必要がある。