バカンチェスプライベートは、リンエイプロダクトが製作する、バンコンキャンピングカー。同社はバンコンモデルの専門ビルダーで、非常に多くのモデルとレイアウトをラインアップしている。
バカンチェスは同社のモデルの共通ブランドで、バカンチェスプライベートは二人旅用に構成されたレイアウトのひとつ。今回取り上げた「バカンチェスプライベート」はハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたモデルだ。

シックなトーンでまとめられたインテリア
コンセプト:同社の「プライベート」レイアウトは二人旅を想定した様々なレイアウトのうち、ダイネットとベッドを分離したモデル。パートナーが就寝してもダイネットを使うことができる。
セパレートクーラー「CoolStar」がオプションで装備でき、夏でも快適な旅を実現。
エクステリア:車体への架装は特になく見た目は普通のハイエース。ただし、この展示車ではルーフにエアコンの室外機が設置されている。多少違和感があるのは否めない。

ルーフに設置されたエアコンの室外機
インテリア:特に豪華さは無く、一般的な作りだが不満は感じられない。家具やシートは選択できるので、自分好みのインテリアが作れる。
レイアウト:前部に2名対座のダイネットと、後部右側にギャレーの構成。ギャレーの対面(車内左サイド)にはベンチシートが設置され、前部のダイネットと2部屋のように使える。
大きなクローゼットが前部左側にあり、エントランスの半分を占めているので出入りは狭いが、スライドドアを開けていても車内が丸見えになることはない。

2名が対座できるダイネット
ダイネット:2名が対座できる。このシートは走行中は座れないので、前向き乗車人数は2名のみ。ただし乗車可能人数は後部のベンチシートを使って計6名となっている。
ダイネットは展開してベッドとして使用できるが、これはエマージェンシーベッドとして位置付けられている。

ベッド展開したフロア
ベッド:後部のベンチシートを展開すると、2名が就寝できるベッドとなる。ベンチシートからベッドへの展開はそれほど労力を要しないが、常設ベッド状態にしておくと、ベッド展開の必要なく、すぐに就寝できる。

40L上蓋式冷蔵庫とシンクがビルトインされたギャレー
ギャレー:ギャレーコンソールには大きめのシンクと40Lの上蓋式冷蔵庫が標準でビルトインされる。シンクは深さがあり実用的な大きさ。カセット式ポータブルコンロが付いてくるが、ギャレー上に置くスペースは冷蔵庫の上しかないので多少不便だ。
給排水タンクは各10Lでシンクの下に収納されている。取り出す場合はベッド状態からシート状態にする必要があるので、毎日水を交換する場合は毎日シート状態に戻す必要がある。
なお、冷蔵庫の隣にペットボトルホルダーが備え付けられているが、これはコーヒーを沸かすとか調理する場合に非常に便利だ。

電子レンジも標準装備される
冷蔵庫/電子レンジ:40L上蓋式の冷蔵庫と、100V仕様の電子レンジが標準装備される。冷蔵庫は製氷機能もあるが、製氷と冷蔵は同時にできない。
電子レンジに関しては、2000Wのインバーターが標準装備されているので、バッテリーでも駆動でき、どこでも使える。
収納:収納の豊富さは特筆できる点。まず、ダイネットに対面して大きなクローゼットが設置されており、長旅での衣類などはここに収納しておける。またギャレー上や電子レンジ横にはオーバーヘッド収納が備え付けられており、食器などはここに収納できる。
後部シート下も収納スペースで、後部ハッチを開けると、長物も積み込める。更に大きな荷物は後部ベッドの下に収納できる。
なお、ダイネット上にあるボードは棚になっており、就寝時など一時的に荷物を乗せておくことができる。

オプションで設置できるセパレートエアコン
空調:この展示車には冷房用に「CoolStar」が装備されている。標準ボディのハイエースにもエアコンが装備できるようになったのは画期的だが、参考価格は60万円(税別)となっており、かなり高額だ。
なお、暖房にはFFヒーターがオプションで設定されている。
テレビ/ナビ:インチ数は不明だが、テレビが標準装備される。後部ベッドに寝ながら見られる位置に取り付けられる。
ナビはオプション。
電装系:サブバッテリーは容量が表示されていないが、2個標準装備される。エアコンはバッテリーでも動作し、100Ah程度のバッテリーが2個付いているとすると、日中でも4時間程度運転できるだろう。
充電は走行充電の他、100Wのソーラーパネルが2枚標準装備されており、ここからも可能。ただし、外部100V入力による充電はオプション。

価格:2WD/6ATで463万円~(税別)。オプションは、FFヒーター(価格不明)、外部100Vによる充電機能(4.5万円)は欲しいところ。
他車:ハイエース標準ボディハイルーフで二人旅用のモデルは数多くあるが、バカンチェスプライベートと似たレイアウトは存在しない。ほとんどのモデルは後部に二の字型ダイネットを持つ。
なお、ハイエース標準ボディでエアコンを搭載できるモデルは、以下の3モデル(RVビックフットのモデルはハイルーフを架装)。価格はエアコンを搭載した場合(ACSエールームを除く)で全て税別。
プラスLV/+1 レクビィ 551万円~
WAC4.7 RVビックフット 527万円~
ACSエールーム RVビックフット 527万円~(エアコンは別)
バカンチェスプライベートにエアコンを搭載すると、523万円~となり、上記モデルとほぼ同じ価格帯になる。なお、プラスLV/+1にも電子レンジ、サブバッテリー(115Ah×3)、走行充電(CTEK 強化型)、外部AC入力&充電、1500Wインバーター、215Wソーラーシステムが含まれる。
まとめ:バカンチェスプライベートの利点は二人旅に特化したユニークなレイアウトが挙げられる。そしてエアコンが搭載できる点で、他の多くの非搭載モデルに差をつける。
一方弱点はベッドの狭さが挙げられる。後部ベッドはギャレーがあるため、二人で就寝するには多少窮屈だ。前部のダイネットを展開して十分な幅のシングルベッドになれば、フロントベッドとリアベッドで別々に就寝できる。
「プライベート」というネーミングは、二人がそれぞれプライベート空間を持てる、という意味の方が良いのではないだろうか。
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