キャンパー厚木(神奈川県)が製作する「アトラス グランドパピィ」は、日産アトラスをベースにしたキャブコンバージョン。同社はかつて、車幅が広いキャブコン市場にミニバン並みのナローモデル「パピィ」を投入し、コンパクト枠の先駆けとなった。2025年には5x2mサイズの新モデル、リヴァーノも発表し、市場を広げている。
今回アトラスベースを追加した背景には、従来の主流であるカムロードの供給不安が挙げられる。また、カムロードのディーゼル仕様車は免許の取得時期によって準中型免許が必要になるため、普通免許(AT限定含む)のまま運転しやすいベース車への移行という面もある。
ベース車にいすゞのエルフ ミオがベースでキャンピングカー専用車のトラヴィオではなく、エルフ ミオのOEMであるアトラスを選択した理由は諸所あるようだ。しかし、現時点で4WDの予約を受け付けている点や、シングルタイヤを採用しつつダブルタイヤも選択可能という柔軟な設定はユーザーメリットが大きい。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産アトラスをベース車にするキャブコンキャンピングカー。カムロードベースのグランドパピィの最大の特徴である、ミニバン相当のスリムなボディを踏襲しており、自宅のカーポートやコインパーキングにもストレスなく駐車できる。
レイアウトやインテリアはカムロードベースとほぼ同じで、リアエントランスの広々としたダイネットも健在だ。もう一つの特徴である、より安全性の高い個体リチウムイオンバッテリーも標準装備されており、480Ahの大容量が搭載されている。
アピールポイント
・普通免許で運転でき、取り回しの良いアトラスを採用
・先進の安全装備
・スリムな車幅で駐車が容易
・リアエントランスによる広いダイネット
・クィーンベッド相当の広いダイネットベッドとバンクベッド
・480Ahの大容量個体リチウムイオンバッテリーを標準装備。
ベース車とエクステリア
アトラス グランドパピィのエクステリア(プロトタイプ)
ベース車は日産アトラス 標準ボディ DX。ディーゼル2WDが標準だが、4WDも受け付けている。また、後輪は同径シングルタイヤとなる(ダブルタイヤも選択可能)。
DXグレードではオプションとなる助手席エアバッグを標準装備。オルタネーターはトラヴィオと同様、150Aにアップグレードされている。ちなみにアトラスやエルフ ミオは90Aだ。
全長 4970mm、全幅 1740mmで、特に全幅はノアやヴォクシーなどのミニバンと変わらないため運転しやすく、自宅の駐車場やコインパーキングでの駐車もストレスなく行うことができる。
シェルは、カムロードバージョンとほぼ同じ形態で、FRP一体成型を採用。高い剛性と断熱性を確保している。
レイアウト
アトラス グランドパピィのレイアウト
リアエントランスを採用。リアエントランスのレイアウトセオリー通り、前部に広いダイネットと、両側に大きなアクリル2重窓がある。後部にはギャレーと多目的ルームを設置している。
インテリア
アトラスグランドパピィのインテリア
インテリアもカムロードベースのグランドパピィと同じで、落ち着いた木目の家具と、テーブルやオーバーヘッド収納の扉、多目的ルームのドアの白がアクセントになっている。
照明は間接照明を一部に使用し、メイン照明は調光はもちろん、昼光色と電球色を切り替えることができる。更にこれらはリモコンでの操作が可能だ。
ダイネット
広々としたダイネット
リアエントランスの特徴である広いダイネットと両側の大きなアクリル2重窓で、開放的でパノラミックなダイネットになっている。広いダイネットは大勢での団欒のみならず、二人旅でもストレスの軽減につながる。
ただし、車幅が狭いことにより、ベンチシートの座面が浅いというトレードオフもある。この場合は、ベンチシートのみベッドモードにすると、掘りごたつモードになり、深い座面になるとともに、テーブルにも近くなる。
ベッド
ダイネットベッド
ダイネットを展開すると、1820x1640mmのベッドになる。1640mmは、家庭用ベッドではクィーンサイズ以上に相当し、3名が就寝できる。ベッド展開は、背もたれを移動する方法なので大きな労力は必要ない。(ベッド展開の動画はこちら)
ダイネットシートの傾斜
3列目の前向きシートの背もたれは背中にフィットするよう、傾斜が付けられている。しかしこれをベッドマットに使用する場合、フラットにする必要がある。パピィシリーズではこの問題をフラップ式にして、シンプルかつスマートに解決している。細かい点だが、細部まで考慮された優れたアイデアだ。
バンクベッド
バンクベッドはベッド端を両側に跳ね上げて収納されている。展開時はこれを下し、中央にベッドマットをはめ込んで完成する。ベッドサイズは、1900x1640mmで、クィーンサイズベッド以上の広さがある。
バンクベッドに上がるステップ
ユニークなのはこのステップで、中央のベッドマットをはめ込まない状態でベッドに上がる際に、これを使うと上がりやすい。(動画はこちら)
ギャレー
L字型の広いギャレー
最後部にはL字型の広いギャレーが置かれている。このギャレーの注目点はコンロだ。多くの場合、コンロはカセットガスコンロを使用する度にいちいちセットする必要がある。
しかし、常設コンロを設置するとスペースやコストの面で不利になる。そこでカセットガスコンロを常設するというアイデアが採用された。蓋を開けると蓋の内側が遮熱版になるというのも優れたアイデアだ。
車外から出し入れできる19Lの給水タンク
シンクの下には19Lの給水タンクが設置されているが、これは車外から出し入れできいるようになっている。これもユーザー目線に立った設計だ。給水タンクはもう1本追加できるようになっており、47Lの排水タンクは床下に設置されている。
冷蔵庫/電子レンジ
65L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は65L横開き式が標準装備される。冷凍室もあるので、製氷や冷凍食品の保冷と、飲み物や食品の保冷が同時にできる。エントランスの向かいにあるので、スーパーで買った食品を冷蔵庫に入れる場合などは楽にできる。
電子レンジはオプション
電子レンジはオプションとなっており、ギャレーキャビネットに設置できる。電子レンジはクルマ旅にほぼ必需装備なので、これは標準装備が望まれる。
多目的ルーム
防水パンと排水口が設けられた多目的ルーム
L字型の白い扉を開けると多目的ルームが現れる。ポータブルトイレやラップ式トイレを置いてトイレルームにすることもできる。床は防水パンが置かれており、排水口もあるので水洗いが可能だ。外部へのドアから濡れたものを直接積み込むこともできる。
FFヒーターの吹き出し口も用意されているので、冬場でも寒い思いをすることはない。リヴァーノにあるような温水シャワーまでは想定されていないのは少し残念なところではある。
収納
ダイネット上部のオーバーヘッド収納
ダイネット上部には両側にオーバーヘッド収納が設置されている。左側の収納は奥行きと高さがあり、多くの荷物を収納できる。左側は右側ほど奥行きは無いが、十分に有用だ。
ダイネットシート下の収納
ダイネットのベンチシートと2列目シートの下は収納になっている。シートマットを取り外してアクセスする必要があるので、頻繁に出し入れする荷物には適さないが、収納力は大きい。
車外からもアクセスできる
更に、これらは車外からもアクセスできる。むしろ外部収納として使用した方が使いやすいかもしれない。左側の扉は2列目シートの下の収納にアクセスできるが、釣り竿やパラソルのような長い荷物を車外から積み込むのに便利だ。
写真の下の収納はFRP製で、汚れたら水洗いできる。濡れたものや汚れたものなどを収納しておくのに適している。
エントランス横の収納キャビネットと傘立て
エントランスの横には収納キャビネットが設置されている。その横には傘立ても用意されている。
エントランス横のシューズボックス
ここは恐らくシューズボックスの想定と思われるが、多少奥行きが浅いように感じられる。人数が多い場合は、対面の収納キャビネットもシューズボックスとして使用できいるだろう。
空調
ギャレー上部に設置された家庭用エアコン
家庭用エアコンがギャレー上部に標準装備される。冷気が前部まで直線的に届くので、理想的な位置だ。暖房はFFヒーターが標準装備される。また、バンクベッド上部にマックスファンが標準装備される。
テレビ/ナビ
オプションリストには載っていないが、24型程度の大きさまでのテレビが、ダイネット左側前部のテーブル上に設置できる。ナビも特にオプション設定されていないが、好みのものを取り付けられるだろう。
電装システム
アトラスグランドパピィの電装システム
同社の電装システムも特徴のひとつで、アトラス グランドパピィにはより安全性が高いとされる個体リチウムイオンバッテリーが標準装備される。480Ahの大容量なので、エアコンなどの大電力を消費する機器を長時間使っても、電気の心配をすることは無い。
その他の電装システムでは、走行充電、外部100V入力とチャージャー、1500W正弦波インバーターが標準装備される。ソーラーシステムは、カムロードベースではオプションだが、アトラスベースでは800Wのソーラーシステムが標準装備される。
価格(2026年6月現在:千円台切り上げ:税込)
アトラス グランドパピィはディーゼル2WDのみ価格が発表されており、1291万円~。現在、予約を受け付けている(詳しくはビルダーにお問い合わせください)。
付けておきたい必需オプションは、電子レンジが挙げられる。(ナビ関連は除く)
他モデル
HAYATEリアエントランス
グランドパピィと同等のスリムな車幅を持つキャブコンは多くなく、唯一、NTBのHAYATEリアエントランスが挙げられる。このモデルはトラヴィオベースで、全長
4940mm、全幅 1770mm。アトラスグランドパピィより30mm短く、30mm幅が広い。(動画はこちら)
このモデルもディーゼル2WDのみ選択でき、価格は1310万円~。アトラスグランドパピィの方が多少安価な位置付けだ。
まとめ
パピィシリーズにも、グランドパピィのみとはいえ、アトラスベースが追加されたのは大きな進化だ。ユーザーにとっても選択肢が増えるのは喜ばしい。ただし、カムロードの供給状況が不安定な今、アトラスベースの選択が現実的かもしれない。
設計の新しさの面でも、アトラスベースは魅力的だ。小さな回転半径や進化した安全装備など、先進の技術で開発されたアトラスやトラヴィオはこれからのベース車の新基準となるだろう。
価格的には、今後の価格改定でどうなるか不明だが、現時点ではアトラスベースのグランドパピィ(ディーゼル2WD)が1291万円~、カムロードベースのグランドパピィSG仕様(ディーゼル4WD)が1166万円~なので、2WDのアトラスベースの方が高価だ。
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