アルファシリーズとACE-Fは、AtoZが製作する、日産NV200バネットバンをベース車にするキャブコンキャンピングカー。
同社は、埼玉県さいたま市に本拠を置くビルダーで、カムロードベースのキャブコンから、軽キャンパーまでラインアップしている。
日産NV200バネットベースのアルファシリーズは2012年から発売されているロングセラーモデルで、2022年には室内高を高くしたアルファ ハイを追加している。これに伴い、従来のボディスタイルは、アルファ ローとなった。
更に、2024年にACEシリーズを発表、ACE-Fはアルファ ハイと同じボディを使用しているが、レイアウトを変え、ACEシリーズのひとつと位置付けられている。NV200バネットベースのキャブコンは他社にはなく、希少な存在だ。
(記事中の価格は全て税込です。また装備や仕様に関してはビルダーでカスタマイズ可能な場合もありますので、各ビルダーにお問い合わせください。)
概要
日産NV200バネットをベース車にするキャブコンキャンピングカー。NV200バネットバンをボディカットしてシェルを架装しており、ボンネットがあるベース車の形状により、ミニバンや乗用車的な運転感覚で運転しやすい。
アルファシリーズとACE-Fは、レイアウトは異なるが、シェルはアルファ ハイと共通。ハイルーフとロールーフの2種類のボディ形状、3種類のレイアウト、2種類のインテリアカラーが選択できる。
ラインアップは、アルファ ハイ type1とType2、アルファ ロー Type1とType2、ACE-Fの5モデルとなる。
アピールポイント
・NV200バネットで運転しやすいベース車
・ハイルーフとロールーフを選択可能
・3種類のレイアウトを選択可能
・2種類のインテリアカラーを選択可能
・リアエントランスで広いダイネット
・横開き式冷蔵庫と電子レンジ(OP)でクルマ旅にも対応
・トイレルームにもなる多目的ルームを配置
・車載用クーラーを搭載可能(OP)
ベース車とエクステリア
アルファ ハイのエクステリア
ベース車は日産NV200バネットバンGX。2WDと4WDが選択できる。上位グレードGXなので、カラードバンパーやUVカットガラスなどが標準装備される。(ベース車の仕様表はこちら)
このベース車をボディカットして、FRPパネルベースのシェルを架装している。コンパクトな車体でライトキャブコンのカテゴリーに入るが、全長は4985ミリ、全幅は1980ミリで、投影面積は5m未満のカムロードキャブコンとあまり変わらない。
NV200バネットはボンネットタイプなのでスペース効率は高くないが、ミニバンや乗用車のような感覚で運転しやすいのが特徴。また、キャブオーバーに比べ、いつまでも車内にエンジンの熱がこもらないのも、夏場では嬉しい。ただし、キャブ部に比べてシェル部の幅が広いので、その点は注意して運転する必要がある。
ボディは高い室内高のアルファ ハイとACE-F、ロープロファイルでスタイリッシュなアルファ ローの2種類が選択できる。大きな違いは就寝人数で、アルファ
ハイとACE-Fはバンクベッドがあるため計4名が就寝できる。アルファ ローは2名。
レイアウト
レイアウトはアルファのType1とType2、そしてACE-Fのレイアウトの3種類から選択できる。アルファ ハイとアルファ ローに、それぞれType1とType2が設定されている。
アルファType1のレイアウト
アルファ Type1では、3列目に2名掛けの前向きシートが設置されている。これにより、運転席、助手席のフロントシートと合わせて4名が前向き乗車でき、ファミリー向けのレイアウトと言える。
アルファType2のレイアウト
アルファ Type2では、両側にベンチシートが配置される。前向きシートはフロントの2名のみなので、二人旅向けのレイアウトだ。横座り対座のダイネットは広く、ゲストを招いて団欒も可能だ。
ACE-Fのレイアウト
ACE-Fも基本的に二人旅向けのレイアウトだが、ハイルーフのみが設定されており、4名が就寝できる。このレイアウトの特徴は、2名がバンクベッドとダイネットベッドで、それぞれ広々としたベッドで就寝できること。あるいは、ダイネットベッドの展開をせずにバンクベッドで2名が就寝できる。
ギャレーキャビネットが大きく広いのも特徴で、調理するユーザーには使いやすいギャレーになっている。アルファの各モデルでは、ギャレーは最後部に設置されている。
インテリア
SHIFUKUのインテリア
同社はアルファシリーズに限らず、インテリアカラーにテーマを設けてそれぞれに名前を付けるという方法をとってきた。アルファシリーズには「SHIFUKU」と「HIKARI」というテーマが与えられている。
HIKARIのインテリア
たふだし、ACEシリーズにはこの手法は採用されておらず、ACE-Fもグレーのシート地になっており、特にインテリアカラーの選択肢は無いようだ。
ダイネット
アルファType2のダイネット
ダイネットはレイアウトの項で少し触れたが、レイアウト同様3種類のダイネット形態がある。アルファType1のダイネットはテーブルを挟んで実質的に2名が対座できる。ベンチシートもあるので、計4~5名程度でテーブルを囲める。
アルファType2のダイネットは両側がベンチシートなので、2名ならゆったりと寛ぐことができ、6名程度でテーブルを囲むこともできる。
ACE-Fのダイネットは横並びで座るため、リビングソファのようなイメージで寛ぐことができる。
ベッド
アルファのダイネットベッド
アルファType1とType2のベッドサイズは同じで、1820x1200ミリの大きさ。車幅方向に就寝する。1200ミリのベッド幅は家庭用のセミダブルベッドの幅に相当する。
ACE-Fのダイネットベッド
ACE-Fのダイネットベッドは、1900x1200ミリの大きさで、やはりセミダブルベッドの幅に相当するが、こちらはベッド長が1900ミリ確保されており、長身のユーザーでも足がつかえることは無いだろう。
バンクベッド
アルファのハイルーフとACE-Fではバンクベッドが設置されており、アルファでは2220x1740ミリ、ACE-Fでは2200x1800mmの大きさとなっている。どちらもキングサイズベッドの大きさに相当する。
ギャレー
アルファのギャレー
アルファのギャレーは最後部に設置されており、リアエントランスの標準的な位置取りとなっている。一方、ACE-Fのギャレーはレイアウトの項の写真の通り、左サイドに大きくスペースを取っている。
シンクの下の給排水タンク
アルファのギャレーでは、調理スペースを確保するため、エントランスを挟んだ反対側にあるシューズボックスの上部に引き出し式の調理台が用意されている。
各10Lの給排水タンクが収納される
ギャレーキャビネットには各10Lの給排水タンクが収納される。アルファもACE-Fも車外から直接出し入れするのは難しいが、エントランスからは遠くなく、また10Lでそれほど重くないので、出し入れに苦労することは無いだろう。
ギャレーキャビネットの収納
ギャレーキャビネットには収納も用意されている。ギャレー上部にもオーバーヘッド収納が用意されており、食器や調理用具を収納しておける。
冷蔵庫/電子レンジ
49L横開き式冷蔵庫が標準装備される
冷蔵庫は49L横開き式が標準装備される。冷凍室もあるので、製氷や冷凍食品の保冷と、飲み物や食品の保冷が同時にできる。ACE-Fではギャレーキャビネットに収納されているが、アルファでは、右サイドのタワーキャビネットに設置されている。
電子レンジは家庭用のものがオプションで設置できる。なお、インバーターはオプションなので、外部電源が無いところでも電子レンジを使用したい場合は、1500W正弦波インバーターも搭載する必要がある。
多目的ルーム
アルファの多目的ルーム
全てのレイアウトタイプに多目的ルームが設置されている。リアエントランスなので、設置位置は標準的な右側後部になっている。広さはアルファが600x650ミリ、ACE-Fは600x700ミリで、どちらもポータブルトイレやラップ式トイレを置いてトイレルームにできる。
いずれにも外部へのドアが標準装備されている。床は防水処理が施されているとされており、スキーウェアなど濡れたものを車外から直接積み込むことができる。なお、室内のベンチレーターやFFヒーターの吹き出し口は設置されていない。
収納
ACE-Fのオーバーヘッド収納
全モデルにオーバーヘッド収納が設置されている。左右両側に設置されているので、大きな収納力が期待できる。
アルファType2のベンチシート下の収納
アルファType2では、ベンチシート下に収納が設けられている。Type1では対座シートのひとつがスツールになっており、その下が収納になっている。もちろんType2の方が収納力は大きい。
ACE-Fのシューズボックス
エントランスの横にシューズボックスが設置されている。比較的大きなシューズボックスなのでファミリー分の靴を収納しておけるだろう。
空調
ACE-Fの車載用クーラー(OP)
アルファハイとACE-Fでは、高さを生かして最後部に車載用クーラーをオプションで設置できる。セットオプションになっており、ツインバッテリー化される。
家庭用ポータブルクーラー(OP)
アルファ ローでは、この位置には設置できないため、家庭用のポータブルクーラーも用意されている。外部電源で運転できるが、インバーターを導入してサブバッテリーで運転することもできる。
なお、いずれの場合もリチウムイオンバッテリーはオプションリストに記載されていない。ただし、個別オーダーとして取り付けられる可能性もあるので、ビルダーや販売店に相談いただきたい。
FFヒーターは、オプションで設置できる。マックスファンベンチレーターはオプションで設置できるが、全高が高くなるので注意が必要だ。
テレビ/ナビ
テレビが設置できる(OP:ACE-F)
19型のテレビモニターがオプションで用意されている。またナビもパイオニア製ナビがオプションで用意されている。もちろん好みのナビを取り付けることは可能だ。
電装システム
標準では105Ahのディープサイクルバッテリーが1個と走行充電、外部100V電源入力が装備されている。 外部電源用チャージャー、1500W正弦波インバーター、180Wソーラーシステムはオプションとなっている。
空調のところでも書いたようにリチウムイオンバッテリーはオプションリストに載っていない。鉛バッテリーは同じ200Ahでも使用できる電気の量がリチウムイオンバッテリーに比べて少ないので、クーラーの運転時間も期待できない。その上、リチウムイオンバッテリーのようにパワーが最後まで落ちないのに比べ、徐々に劣化するため、2年程度使うとクーラーを満足に運転できなくなる可能性がある。
解決策としては、ポータブル電源を使用する方法がある。アルファやACE-Fには、外部100V電源入力コネクタと同じものが車内にも用意されているので、ここにポータブル電源を接続するとシステム電源として使用できる。2000Whクラスのものを入れておけば、一応実用的にクーラーを運転できるだろう。
しかし、ポータブル電源のスペースが必要になり、限りあるスペースを占有してしまうことになる。やはり、リチウムイオンバッテリーのオプション化を期待したいところだ。
価格(2026年5月現在:千円台切り上げ:税込)
アルファ ロー 2WDは680万円~、4WDは702万円~、アルファ ハイ 2WDは697万円~、4WDは725万円~、ACE-F 2WDは708万円~、4WDは730万円~となっている。
付けておきたい必需オプションは、外部電源用チャージャー(58,080円)、1500W正弦波インバーター(181,500円)、FFヒーター(258,500円)が挙げられる。(ナビ関連は除く)
また、クーラーセット(396,000円)は高額ではあるが付けておきたい。ただし、リチウムイオンバッテリーやポータブル電源は必要だ。クルマ旅をするなら電子レンジ(21,780円)も設置することをお勧めする。
他モデル
NV200バネットをベース車にするキャブコンは他にない。近いモデルでは、タウンエースバンベースの、AtoZのACE-S TypeⅡ(633万円~)、MYSミスティックのレジストロ アウルⅡリチウムエディション(683万円~)、セキソーボディのトム23M(682万円~)などがあるが、ベース車の動力性能やグレード感はNV200バネットが上だろう。
まとめ
アルファシリーズとACE-Fの購入理由の1位は恐らくスタイリングとコンパクトさだろう。トラックベースのキャブコンを敬遠しているユーザーでも、アルファやACE-Fのスタイリングは問題ないと感じることが多いようだ。
ただし、キャブオーバーのキャブコンと比べると、スペース効率では大きく差を付けられてしまう。ここは、十分理解して購入する必要がある。4名が就寝できると言っても、おそらく大人2名と小さい子供2名程度までと考えた方が良い。ゆったり過ごせるのはせいぜい大人2名までだろう。
装備に関しては、横開き式冷蔵庫、電子レンジ、クーラーなど、快適なクルマ旅を実現する装備は全て揃っている。ただ、やはりリチウムイオンバッテリーがオプション設定されていないのは残念な点と言わざるを得ない。今やリチウムイオンバッテリーは当たり前の時代なので、正規のオプションとして自信を持って勧めて欲しいアイテムだ。
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