MagicEdition(マジックエディション)はドイツのビルダーDethleffs(デスレフ)が製作する欧州モーターホーム。デスレフは、フルコンバージョンとキャブコンバージョンを専門とするが、マジックエディションは同社のラインアップで中核の代表ブランドの位置付け。
日本へは東和モータース販売が輸入、販売している。
マジックエディションは、日本に輸入されているのはI2EBのみで、これはフルコンバージョン(本国ではA Classと名付けられている)のスタイル。シャシーのみフィアットデュカトのものを使っているが、ボディはオリジナルデザイン。ちなみに本国ではキャブをそのまま残したキャブコンスタイル(同Low Profile)も存在する。
エクステリアに関しては、I2EBは全長が7mを超え、国内では運転に気を遣う場合もあるだろう。しかしその分室内は余裕があり、まさにモーターホームの領域だ。
レイアウトは欧州車では一般的なもので、前部にダイネット、後部にベッドルーム、中央にギャレーとサニタリールームを配置する。
また、キャブ上にはプルダウンベッドが装備されており、ファミリーでの使用にも対応できる。
運転席、助手席が回転してダイネットシートに
ダイネットは欧州車おなじみの運転席、助手席が回転して後ろ向きになり、2列目シートとでテーブルを囲めるスタイルで、エントランス横にもサブチェアがあるので5名程度でテーブルを囲むことができる。
ベッドは後部のツインベッドがメインベッドで、大人2名が就寝できる。
後部のツインベッド
その他、キャブ上部にプルダウンベッドが用意されており、ここでも大人2名が就寝できる。従って、計4名が就寝できるのでファミリーでも使用できる。
プルダウンベッドは電動ではなく手動で昇降させるが、ダンパーが装備されているので実に軽く操作することができる。むしろ電動より素早く操作できるし電気も消費しないので、こちらの方が良いくらいだ。
ただ、プルダウンベッドを下ろした状態では、ダイネットの半分が使えなくなる。
子供が先にプルダウンベッドで就寝する、というシチュエーションはあまり現実的ではないようだ。
前部のプルダウンダブルベッド
ギャレーは「半L字型」で、大きな丸いシンクと3口のコンロがビルトインされている。
最近の欧州車によく見られるようになったが、コンロの手前にスペースが設けられ、調理しやすくなっている。
冷蔵庫は3Way190リッターの2ドアが標準装備される。
また電子レンジはオプションで装備できる。
引き出し収納が充実したギャレー
サニタリールームは欧州車らしく豪華で、カセットトイレ、温水シャワー、専用のシンクが備えられている。
シャワースペースとトイレスペースはカーテンで仕切れるようになっており、シャワーでトイレが濡れることはない。
ボイラーは10リッターのTruma Combi 6で、107リッターの給水タンクの水と混合して温水シャワーに使う。
温水シャワーも装備されたサニタリールーム
収納はダイネット上、ギャレー上、ベッドルーム上のオーバーヘッド収納をはじめ、ギャレーコンソールの引き出し収納、冷蔵庫の上、ベッドの手前、エントランス横と、いたるところに用意されており、収納に困ることはないだろう。
更にベッド下には大きな外部収納があり、自転車など大きな荷物も積むことができる。
車外左右からアクセスできるが、車内からアクセスするのは難しそうだ。
自転車などが詰める外部収納
空調はTruma Combi 6がFFヒーター機能を持っている。
また冷房は家庭用エアコンを車載用にアレンジしたe-Comfortがオプションで取り付けられる。一般的なルーフエアコンもオプションで用意されているが、e-Comfortならバッテリーで運転できるのでお勧めだ。
電装系は95Ahのディープサイクルバッテリーが1個標準装備されるが、これだけで足りるはずはなく、オプションの追加バッテリーが必要だ。
また200Ahと400Ahのリチウムイオンバッテリーもオプションで用意されているので、エアコンなどを装備する場合はこちらが良いだろう。
更にソーラーシステムも用意されている。
なお、インバーターもオプション。これがないとバッテリーで100V機器を動かすことができない。
価格は1450万円(税別)。もちろんオプションを付ける必要があるので、これだけでは済まない。諸所の税金も別。
比較対象のモデルとしてはアドリアモービルのSONIC SUPREME 710 SL(1448万円 同)あたりになるが、このクラスになるとあまり価格比較は意味がないだろう。
それよりも「いかに国内で使いやすいか」の方が重要で、例えば右ハンドルの対応、家庭用エアコンの搭載の可否、リチウムイオンバッテリーの対応、発電機の搭載、電子レンジの装着などをチェックするとよいだろう。