Fuse23A ウィネベーゴ


フューズ23Aは米国のコーチビルダー、ウィネベーゴが製造するクラスC(キャブコン)のモーターホーム。
日本へは、ニートRVが輸入販売している。
ウィネベーゴは北米のコーチビルダーを代表するブランドで、米国ではウィネベーゴといえばモーターホームの代名詞となっているくらい有名だ。

欧米のモーターホームといえば、巨大で豪華なイメージがあり、実際その通りだったのだが、数年前からコンパクトなモデルが多く発表され、これがトレンドになっている。
欧州では、ハイマーのバン314やアドリアモービルのコンパクトSPなど6mを切るモデルが発売されている。

北米では、欧州ほどコンパクトなモデルは少ないが、それでもソアーがRUVというコンセプトでベガスやアクシスといった、新しいトレンドを打ち出して以来、各コーチビルダーはコンパクトなモデルも手がけるようになっている。
その背景は、燃費の面もあるが、もっと気軽に出動したいという要求が高まったため。
やはり観光バスのような大きさのモーターホームは、北米といえども気軽には出動できないようだ。

フューズもそのようなコンセプトに基いて設計されているのだが、やはりコンパクトと言っても全長は7mをゆうに超え、日本ではとてもコンパクトとはいえない大きさだ。
ウィネベーゴのクラスCラインアップの中では、フィアットデュカトのOEM車でダッジのラム プロマスターをベース車にしたトレンドががあるが、これと同クラスとなる。

フューズはフォード トランジットをベース車にしており、エンジンは3.2L 直列5気筒 ターボ ディーゼル。
トレンドがガソリン仕様なのに対して、フューズはディーゼル仕様となっている。

フューズはレイアウトプランが23Aと23Tの2種類存在し、どちらもスライドアウトが標準装備される。
23Aと23Tの違いは、23Aはダイネットが左サイドにスライドアウトするのに対し、23Tはベッドが右サイドにスライドアウトする。

 23A

 23T

インテリアはアメリカンモーターホームらしく、クラシカルかつシックな感じで、重厚さが特徴。
コンパクトと言っても、内部は国産キャブコンとは比較にならないくらい広く、圧迫感は皆無だ。


ただ、レイアウトは不思議で、常設ベッドが無い。
最前部にスライドアウトのダイネット、その向かいにギャレー、中央に対座したロングソファのメインダイネット、最後部にサニタリールームの構成だが、メインダイネットのロングソファは、実はツインベッドなのだ。
ベッド間の隙間(即ち通路)を背もたれで埋めると、キングサイズのダブルベッドになる。


これを常設ベッド化しても良いが、そうすると、ダイネットはフロント部のスライドアウトに仕込まれた小さなソファしかなくなる。
即ち、これだけ大きな室内なのに、就寝前にはダイネットを片付けてベッド展開をしなければならないのだ。

なお、23Tはスライドアウトにベッドが仕込まれているので、簡単にベッド展開ができるが、狭い駐車場で横にスライドアウトが出せないと寝られない、ということになってしまう。
常にキャンプ場のようなところに泊まらないと、道の駅などでは就寝できない場合がある。

ギャレーは、2口バーナーを持つコンロと深く大きいシンクがビルトインされ、さすがに豪華だ。
調理スペースが無いように見えるが、ギャレーコンソールの横に跳ね上げ式の調理台があり、本格的な料理も可能。

冷蔵庫は150リッターで、23Aではスライドアウト部に組み込まれている。
また、電子レンジも標準装備されており、冷蔵庫の上部に設置される。
ギャレーコンソールにはオーバーヘッド収納や引き出し収納を含め十分な収納スペースが有り、食器などの収納に困ることはない。


サニタリールームは欧米車には当然のように装備されており、フューズでもカセットトイレと温水シャワーが標準装備される。
シャワールームは独立しており、22リッターのガスボイラーで湯を沸かし、102リッターの水と混合して適温にする。
2名なら湯量は十分だろう。

収納は、ダイネットやギャレー上部のオーバーヘッド収納やシート下の引き出し収納など、様々なところに用意されているので、衣類や食品の収納は問題ない。
ただ、後部にハイマウントベッドを配するレイアウトではないので、自転車を収納するような巨大な収納スペースは用意されていない。

空調は、暖房はボイラー/FFヒーターが標準装備され、冷房はルーフエアコンが標準装備される。
即ち、外部電源がある場合のみ使用可能だ。

また、電装系は、サブバッテリーが2個標準装備され、走行充電、外部100V入力/充電が可能。

フューズ23A、23Tは、比較的コンパクトなボディでアメリカンモーターホームを手に入れたいユーザーが対象となる。
23Aはスライドアウト部がエマージェンシーベッドになり、最大4名就寝できるが、やはり二人で使うのが妥当だろう。
23Tも前部がエマージェンシーベッドになるが、やはり2名での使用を想定されている。

スライドアウトがあり、広い室内を実現しているが、やはり常設ベッドが欲しいところだ。
同じサイズなら、スライドアウトは持たないが、常設ベッドと、必要ならプルダウンベッドを持つ欧州モデルのほうが、レイアウトとしては理にかなっているように思える。


モデル フューズ23A
ビルダー ウィネベーゴ
ルーフ架装 -
ナンバー区分 8
乗車人数 4
就寝人数 4
ベース車 フォード・トランジット
ダイネット形態 ロングソファ対座
ベッド形態 ダイネット展開フロアベッド
サブバッテリー ○(x2)
バッテリー増設 -
走行充電システム
外部100V入力/充電
インバーター
大容量インバーター
ルーフベンチレーター
サンルーフ
コンロ ○(2口)
シンク
給水タンク ○(102L)
排水タンク ○(162L)
冷蔵庫 ○(150L)
電子レンジ
ユーティリティールーム
ポータブルトイレ -
カセットトイレ
カーテン/ブラインド
FFヒーター
ルームエアコン ○(ルーフ)
シャワー設備
温水装置 ○(22L)
発電機
ウインドウ架装 -
アクリルウインドウ -
サイドオーニング -
ソーラーシステム OP(118W)
全長(mm) 7,350
全幅(mm) 2,320
全高(mm) 3,110
価格 1350万円~(2WD/6AT/FR)

2017年2月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)

フューズ23Aの動画はこちら

2017.6.13