デリカD:5 D:ポップは、西尾張三菱自動車販売が製作する車中泊車。三菱自動車の正規ディーラーの同社がデリカD:5にポップアプルーフを架装して販売している。従って、デリカD:5は日本全国どこでも購入できるが、ポップアプルーフ仕様は同社でしか購入できない。なお、クルマ自体のメンテナンスは全国の三菱自動車販売で可能だ。
同社は従来より同様の架装をデリカD:3やアウトランダーでも行っており、今回は新型デリカD:5にポップアプルーフを架装した。ポップアプルーフ以外に、ベッドキットがオプションで用意されている。
このクルマのコンセプトは、もちろんポップアプルーフを架装することにより、高い天井高で圧迫感のない室内を手に入れることだが、それ以外にも、4名のファミリーで車中泊ができることにある。ポップアプルーフが無くてもベッドキットを設置すれば車中泊は可能だが、大人2名しか就寝できない。ポップアップルーフを架装すると、ここで子供2名が就寝できる。
デリカD:5のインテリア
エクステリアは、ポップアップルーフ以外はオリジナルのデリカD:5と同じ。ポップアップルーフを下げてしまえばオリジナルと変わらないので、日常使用にも違和感なく使える。車高はオリジナルより130mm高く、2000mmとなるが、多くの高さ制限のある駐車場にも入れる。
3列目シートを跳ね上げた場合
インテリアはオリジナルのデリカD:5と全く同じ。乗用車ベースなので、商用車とは違った高品質感がある。
レイアウトもデリカD:5と同じだが、ベッドキットを設置すると、2列目シート以後はフラットベッドになる。もちろんベッドキットを取り外すと、元通り8名が前向き着座してドライブできる。
運転席、助手席が回転して対座できる
ダイネットは、オプションで運転席、助手席を回転することができるようになり、2列目シートと向かい合って座ることができる。テーブルも用意されているので、ちょっとした食事などもできる。
3列目シートをベッドの一部とするD:BED
ベッドは、オプションのベッドキットを設置する。ベッドキットは「D:BED」と「D:BEDII」が選択でき、D:BEDは3列目シートのシートバックを使用してベッドの一部とするが、D:BEDIIは3列目シートを跳ね上げて使用する。
ギャレーは無いが、ドメティック製のCDF-16ポータブル冷蔵庫がオプション設定されている。設置場所は特に指定されていないが、ベッド下にちょうど入る高さだ。ただし、ベッドキットを置いてしまうと、冷蔵庫へのアクセスが難しい。冷蔵庫を積むユーザーは比較的多いので、冷蔵庫を考慮したベッドキットならなお良かったのだが。
収納は、デリカD:5に用意されている収納以外特に追加されないが、ベッドキットを設置すればその下が大きな収納スペースになる。大きめのバッグなどの荷物を入れておくことができる。
空調は、エバスペッヒャー製のFFヒーターがオプション設定されている。早春や秋口を含め、車中泊をする場合には是非お勧めしたいアイテムだ。
電装系は全てオプションとなるが、105Ahのサブバッテリー1個、あるいは2個、および走行充電システムや外部100V入力/充電を搭載できる。また、154Wのソーラーシステムもオプションで取り付けできる。
更に、1500Wのインバーターもオプション設定されており、車内で家電製品を使うことができる。
サブバッテリー1個、走行充電と外部入力充電、インバーターを付けると約40万円(税込)程度になるが、車内でテレビや家電製品を使いたい場合は必需品だ。車中泊をする予定があるなら、少なくともサブバッテリー、走行充電、外部100V入力/充電を装備しておくと、メインバッテリーが上がってしまうことを防げる。
価格は、489万円~(4WD/6AT Mグレード:税別)。同グレードのデリカD:5が392万円(同)なので、ポップアップルーフの価格は単純計算で97万円になる。(ベッドキットは含まれない)かなり高価なオプションではあるが、これによりファミリーで車中泊ができるようになり、クルマの使い方が大きく広がる。
また、最近話題になる災害時にも、4人家族なら全員でフラットベッドで就寝できる。その意味でも安心な装備ではある。ただし、災害時のことを重視するなら、大容量バッテリーが搭載されているプラグインハイブリッドのアウトランダーPHEV POPのほうがお勧めだ。