コンパス ホワイトハウス


コンパスといえば、ハイエースワイドロングをベース車に使用し、ポプアップルーフを持つバンコンとして代表的なブランドだ。
コンパスにはコンパスビッツやコンパスドルクなどシリーズモデルもあるが、今回取り上げるのはハイエースワイドロングをベース車にした「コンパス」。
アム・クラフト時代から続くコンパスシリーズの元祖モデルである。

ハイエースワイドロングは、スーパーロングほど全長が長くないため取り回しがしやすく、ワイドボディのため、標準ボディより余裕のある室内を持つ。
車高は、ミドルルーフで標準ボディ標準ルーフよりも高いが、高さ制限のあるパーキングの標準的な高さ2100mmよりも低いため、比較的駐車しやすい。

その上、ポップアップルーフを持つため、停泊時は高い天井高を確保できる上、ルーフベッドでも就寝できるというメリットが有る。
更に、右側ウインドウがエクステンションウインドウで拡張されており、これにより後部ハイマウントベッドは車幅方向に就寝できるため、スペース効率を上げることができる。

追記(2020.8.25):コンパス2020年モデルのレビュー記事はこちら


ハイエースワイドロング+ポップアップルーフ+エクステンションウインドウの組み合わせは、このように理想に近いパッケージングを可能とするのだが、実はこの組み合わせを持つモデルはこのコンパス以外に存在しない。
もちろん、ワイドロングにポップアップルーフを乗せたモデルは幾つか存在するが、エクステンションウインドウまで装備しているモデルは他にないのだ。

レイアウトを見てみると、前部に広い対座ダイネットがある。
2列目シートにFASPシートを採用しているので、前向きにすれば前向き着座が可能だ。
3列目も前向きシートなので、計6名が前向き乗車できる。


ベッドは後部にハイマウントダブルベッドを持つが、これはエクステンションウインドウのおかげでキャンピングカーの大人用ベッドの既定値1800mmを確保できるので、大人が車幅方向に就寝できる。
また、シートをフラットにすると、大人1名用のフロアベッドになる。
更にポップアップルーフを上げたときにルーフベッドになり、ここでも大人2名が就寝できる。

即ち、ファミリーでもゆったり団欒でき、就寝できる上、ダイネットを展開しなくても4名が就寝できるベッドが用意されているのだ。
ふたり旅で使用するなら、常設ベッドの後部ハイマウントベッドだけで事足りるので、ポップアップルーフをアップしなくても済むし、必要に応じて分かれて就寝することもできるのだ。
ファミリーにもふたり旅にも適したレイアウトと言える。


ギャレーはワイドボディとエクステンションウインドウを活かして、奥行きを十分取ったギャレーコンソールが与えられている。
ここには、シンクと上蓋式の冷蔵庫がビルトインされているが、卓上式のカセットコンロを乗せれば十分調理ができるだろう。
ただ、ギャレー前にはシートがあるので、ギャレー前に立って調理するという事はできない。
着座しながら横向きに調理するという不自然な格好になるので、ここはちょっと不便な点といえる。
なお、電子レンジもオプションで用意されているので、簡単な調理も可能だ。
ギャレーの下には各10リッターの給排水タンクが収納されている。
ただ、この位置はアクセスし難く、重いタンクの出し入れに最適の場所とは言い難い。


電装系は充実していて、100Ahのサブバッテリーが標準で2個装備されている。
また、1500Wの大容量インバーターも標準装備されているのは嬉しい。
サブバッテリーはやはり2個あると電気の心配をしなくても良いし、1500Wのインバーターがあるので、電子レンジもそのまま搭載できる。
更にFFヒーターまでも標準装備されているのも特筆できる。

コンパスは、さすがにスタンダードなブランドだけあって、装備が充実しているし、インテリアや全体の作りも抜かりがない。
ワイドボディなので少し大きく感じるかもしれないが、ポップアップルーフを下げてしまえば普通のハイエースなので、通勤や買物など日常用途にも使用できるだろう。

ミニバンのようにも使え、高さ制限のあるパーキングに比較的入りやすく、休日はファミリーでも二人でも使いやすく、ポップアップルーフで広い室内を実現できると、良いところばかりだが、ウイークポイントは価格だろう。

これだけ標準装備が充実しているので仕方ないところもあるが、400万円~500万円代が主流のバンコンカテゴリーにおいては、600万円を超える価格はかなりハイエンドモデルに位置付けられる。
ただ、この価格ならキャブコンやハイエーススーパーロングの上級モデルにも手が届くと言いたいところだが、コンパスの強みはそのコンパクトさやキャンピングカー然としていないとことにある。
従って、このような条件を満たすモデルを望んでいる場合は、多少価格は高いが、コンパスが唯一の選択肢であり、また選んでも後悔のないモデルだろう。


 

モデル コンパス
ビルダー ホワイトハウス
ルーフ架装 ポップアップルーフ
ナンバー区分 8
乗車人数 6
就寝人数 4+2(小)
ベース車 ハイエースワイドロング
ダイネット形態 対座
ベッド形態 ハイマウントダブルベッド
ダイネット展開フロアベッド
ルーフベッド
サブバッテリー ○(100Ah x2)
バッテリー増設 -
走行充電システム
外部100V入力/充電
インバーター
大容量インバーター ○(1500W)
ルーフベンチレーター -
サンルーフ OP
コンロ ○(卓上型カセットタイプ)
シンク
給水タンク ○(10L)
排水タンク ○(10L)
冷蔵庫 ○(40L)
電子レンジ OP
ユーティリティールーム -
ポータブルトイレ -
カセットトイレ -
カーテン/ブラインド
FFヒーター
ルームエアコン -
シャワー設備 -
温水装置 -
発電機 -
ウインドウ架装
アクリルウインドウ
サイドオーニング OP
ソーラーシステム OP
全長(mm) 4,840
全幅(mm) 1,920
全高(mm) 2,090
価格 603万円~(2WD/AT)

2017年2月現在  (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)

コンパスの動画はこちら

2017.2.22