ロードトレック社は米国のコーチビルダーで、クラスB、日本で言うバン・コンバージョン(バンコン)を中心に生産している。
ロードトレックといえば、先代のベース車、ダッジのラム バンをベースにしたモデルがおなじみだが、現在のベース車はシボレーエクスプレス2500になっており、このベース車は4.8リッターV8のガソリンエンジンを搭載している。
ロードトレック社は、このベース車でロードトレック210、190、170のラインアップを持ち、これらが従来のロードトレックのコンセプトを受け継いでいる。
なお、現在では、ラム プロマスターやメルセデス スプリンターをベースにしたラインアップも用意しており、選択肢を広げている。
なお、日本には、シボレーエクスプレスのモデルが輸入されおり、今回紹介するロードトレック170ヴァーサタイルは、210、190、170のラインアップでは最もコンパクトなモデルの位置づけとなっている。
ロードトレック170ヴァーサタイルのレイアウトは、前部にダイネット、最後部にベッド、その間にギャレーとサニタリールームを配置しており、従来より大きく変わっていない。
日本ではバンコンにシャワールームがあるモデルは極めて少ないが、欧米モデルでは上級車種になると普通についており、もちろん温水が使える。
170ヴァーサタイルも例外ではなく、シャワールーム兼トイレルームが装備されている。
ダイネットは欧州車同様、フロントシートが回転する仕掛けで、運転席、助手席を含め4名がテーブルを囲める。
170ヴァーサタイルのダイネット
後部にダブルベッドがあるが、このダイネットを展開すると追加で2名が就寝できるようになり、計4名が就寝できるのでファミリーユースも可能。
ただし、室内の広さやダイネットの展開を考えると、やはり2名での使用が理想的だろう。
後部のベッドが特徴の一つになっており、電動でベッドからシートに、あるいはシートからベッドに10秒程度で変更できる。
ただ、ここを常設ベッドとし、シートとして使う機会があまり無いなら、電動は無用の長物になりかねない。
電動は標準装備なのでマニュアルを選択することができないが、オプションとしても良かったのかも知れない。
最後部のベッドは電動でシートにもなる
ギャレーは2口コンロがシンクとともにビルトインされており、またシンクも十分大きなものが埋め込まれているのでバンコンながら豪華なキッチンとなっている。
ギャレーコンソールには85リッターの3ウェイ冷蔵庫が標準でビルトインされる。
また、電子レンジも標準装備。
2口コンロと大きなシンクが埋め込まれたギャレー
サニタリールームの扉は二重になっており、手前がクローゼット、奥がサニタリールームになっている。
ただし、完全な個室ではなく、トイレやシャワーを使う場合は扉を開けて使用するが、開けた扉が通路の扉となり、ダイネットからは見えない。
また、シャワーの場合は、通路に出っ張って防水カーテンを引く。
床のカーペットを取り外すとシャワーパンになっており排水口もある。
この考え方も、従来から変わっていない。
給水タンクは55リッター、排水タンクは85リッターだが、温水はガスボイラーで23リッター程度の高温の湯を沸かし水と混合する方式なので、一度にシャワーを使えるのは2名程度。
空調は、暖房はFFヒーター、冷房はルーフエアコンが標準装備されている。
ルーフエアコンと言っても、天井ではなく、リアエンドにうまく組み込まれており、このエクステリアデザインが従来モデルからロードトレックの特徴になっている。
後部上方に設置されたエアコン
電装系は、95Ahのサブバッテリーが1個標準装備されるが、本国では追加バッテリーのオプションが設定されている。
バッテリーは空輸できないので、日本で積むことになると思われるが、追加バッテリーが必要な場合は相談すると良いだろう。
また、本国ではリチウムバッテリーのオプションも設定されているが、国内では難しいかもしれない。
ジェネレーター(発電機)も本国でオプション設定されているので、必要な場合は相談すると良いだろう。
ロードトレック170ヴァーサタイルは、ハイエーススーパーロングよりも一回り大きなボディなので、コンパクトサイズと言っても、それなりに内部は広い。
国内の2x5mの普通車駐車枠には駐められないので、スーパーの駐車場などでは扱いにくい場合がある。
しかし、アメリカンモーターホームの雰囲気が味わいたいが、あまりに大きなサイズのモデルは無理、というユーザーには、お勧めなモデルだ。
燃費は8Km/Lと、昔ほどには悪くない。
国内の販売は、エイチアンドケイコーポレーションが扱っている。